東海大大阪仰星(大阪第2)が4大会ぶり6度目の優勝を飾った。

初の決勝進出の国学院栃木に対し、攻めては5トライを奪い、守っては1トライに封じた。大会優勝6回は東福岡、天理(奈良)と並ぶ歴代4位。同勝利数は60で、常翔啓光学園(大阪)と並ぶ9位となった。

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真っ青な冬空の下、東海大大阪仰星フィフティーンの歓喜が鳴り響いた。準々決勝で大阪のライバル・常翔学園、準決勝で1年前にロスタイム18分5秒の歴史的ドローを演じた宿敵・東福岡を破った。そして決勝は、3連覇を狙う桐蔭学園を破った国学院栃木を退けた。湯浅監督は「本当にホッとしました。何人か負傷はあったけど、重症もなく、最後までね。最後までやりきれたのは良かったです」と、万感の思いだった。

6度目の優勝は、ファンの声がきっかけだった。「生徒は“正しく答えないと”と思ってるんじゃないですか? 生徒に答えられなくしてませんか?」-。

昨年1月の大阪新人戦。湯浅監督が「何であのプレーをしたの?」と問いかけると選手が黙った。東海大大阪仰星の大ベテラン教諭がその場面を見て、監督に送ったメッセージ。自分を現役から知り、ラグビー部を応援し続ける数学教諭の一言に、頭を殴られた。

自分よりラグビーを知らない子どもに、答えを押しつけてないか? 発想を阻害していないか? 「間違った答えでいいじゃないか。自分でいろいろ考えた方が、生徒のためになるのに」。自分の傲慢(ごうまん)さを恥じた。

心当たりはあった。東福岡と引き分けた1年前の花園準々決勝。ロスタイムで相手選手が見せたプレーに震えた。ぎりぎりの局面でDFラインの裏にキックを出し、インゴールに仲間を走らせた。「オブストラクションになったけど、あれはトライ。なんべん見てもトライです。“その選択をするか?”と驚いた」。あの選択には何が必要なのか-。あえて教えを減らした。答えの4分の3まで教えていた指導スタイルを、3分の2へ。選手が考える余地を広げた。

選手は、監督の変化を肌で感じた。「練習で、湯浅先生が関わる時間は減りました。今までが10やったとすると、5か6ですかね」とNO8薄田主将は言う。1年前の花園で東福岡と引き分け、4強を逃した。3月の選抜では準決勝でその東福岡に完敗した。日本一を狙うには「めちゃくちゃな差」があり「全然準備不足」と自覚する選手たちは監督に頼らず、自分で考え、答えを求めた。

応援する者がいる。学びを忘れぬ名将がいる。そして、高校日本代表6人ら力とスキルを持ってなお、伸びようとする選手がいる。最後に指揮官は「選手自身で考え、何よりグラウンドに立っている選手以外の生徒たちの分析とか。そういう全員で向かっていったことが、いい方向に向いた要因だったと思います」。東海大大阪仰星は、強かった。

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