日刊スポーツでは22年の飛躍が期待される北海道関連のアスリート、アーティストを「寅イ 2022」と題し、紹介する。第1回は、重量挙げ女子71キロ級ジュニア日本記録保持者の瀬川瑠奈(士別翔雲3年)。4月から名門の東京国際大に入学し、64年東京&68年メキシコオリンピック(五輪)金メダリストの三宅義信監督(82)の門下生となる。元チアリーダーが24年パリ五輪への挑戦を本格化させる。

瀬川の視線の先は2年後の大舞台だ。24年パリ五輪を目指し、4月から東京国際大に入学する。女子48キロ級の三宅宏実氏(36)の伯父で64年東京、68年メキシコ五輪で金メダルを獲得した義信氏が監督を務める。「練習量が増えると思うけど、ケガをしないように。厳しいかもしれないけど、パリを目標としてしっかり持ってやっていきたい」と掲げる。

名寄風連中3年まではチアリーディングで汗を流していた。重量挙げとの出会いは中学1年。バーベルを腰の高さまで持ち上げた時に「何も知らなかった未知の世界。知らないところに興味を持った」と、魅了された。チアリーディングの組み技では他の人を持ち上げる下段の役回りで「下で支える方だったので」と、もともと“力持ち”だったという。

士別翔雲入学後には、そのパワーをさらに磨いた。1回しかできなかった懸垂は、今では5回できるようになった。2年時に全日本ジュニアと全国選抜、3年時には女子初開催の全国総体と、タイトルを集めた。11月の全日本選手権では2位に入り、ジャーク118キロと合計209キロはジュニア日本記録と日本高校記録を更新した。「高2の時に五輪を意識するようになった」。3年間での成長で、世界を見据えるようになった。

ただ出場するだけではなく、目標がある。「日本人は軽量級が強いけど重量級では海外の選手に勝てない。自分が結果を残したい」と挑戦する。まずは高校ラストの2月の全日本ジュニア(岡山)で2連覇と合計215キロを達成し「後の世代に抜かれない記録を作る」と、練習に力を入れている。【保坂果那】

◆瀬川瑠奈(せがわ・るな) 2003年(平15)11月17日、名寄市生まれ。2歳からチアリーディングを始め、名寄風連中ではトランポリンも経験。重量挙げは中学1年から始めた。自己ベストはスナッチ92キロ、ジャーク118キロ、合計では209キロで、すべて女子71キロ級の日本高校記録。ジャークと合計はジュニア日本記録。167センチ。家族は両親と姉。

◆重量挙げと五輪 女子は00年シドニー大会から実施。日本女子は48キロ級の三宅宏実が12年ロンドン大会で初の銀メダル、16年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得。21年東京大会で59キロ級安藤美希子が銅メダルを獲得し、これまで軽量級のみ。重量級ではまだメダルはなく、08年北京大会の69キロ級斎藤里香と12年ロンドン大会の嶋本麻美の8位が最高。