悲願の日本一には届かなかった。古川学園(宮城)が、昨年優勝の就実(岡山)に1-3で競り負け、22大会ぶり4度目の優勝を逃した。試合後、選手は悔し涙を流したが、表彰式では胸を張って笑顔で集合写真に納まった。来年度も準優勝に貢献した大黒柱タピア・アロンドラ、熊谷仁依奈、阿部明音ら2年生の主力が残る。名門が「日本一」を誓い、再出発する。

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古川学園がまたもや歓喜の瞬間を逃した。最後に優勝した99年以降で3度目の決勝進出。だが、就実の多彩な攻撃と粘り強い守備に苦しみ、日本一は来年以降に持ち越しとなった。試合後、選手は勝者をたたえて拍手を送ったが、コートを出てから悔し涙があふれた。岡崎典生監督(53)は「選手たちはここまでよく頑張ってくれた。去年の春高が終わってから全く新しいチームになったので今年1年、全国で一番成長した選手たちだった」とねぎらった。

20年準V。そして21年1月9日、準決勝でこの日と同じ就実に負けた。悔し涙を流す先輩を見てきた阿部は、「一昨年が2位で昨年が3位。今年こそは日本一を取ろうとみんなで話をしてきたので日本一になりたい」と、左手に「気迫」の2文字を書き込み、奮い立った。下北沢成徳(東京第3代表)との準決勝で22得点、決勝は16得点。得点源としての存在感を見せた。

大会NO・1の身長195センチ、最高到達点315センチのアロンドラは、全国にその名をとどろかせた。昨年は膝の故障でベンチ外。自身初の春高は、打点の高いスパイクを何本もたたき込み、チーム最多36得点をマーク。今大会は「自分のスパイクを決めることができた」。集大成となる来年の大舞台に向け「スパイクを全部決めること、そして絶対に日本一になる」と言葉に力を込めた。

セッターで主将の熊谷は試合後、エース鈴木玲香(3年)から「今まで本当にありがとう。仁依奈、ナイストスだったよ。来年は必ず日本一になってね」と思いを託され、表彰式では前を向いた。「自分はまだ2年生で来年がある。絶対に来年こそは日本一になりたい」。

今まで支えてくれた先輩は引退となったが、日本一を目指すチームの心は再びひとつになった。【相沢孔志】

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レギュラーただ1人の3年生でエース鈴木玲香が、15得点で勝負強さを見せた。0-1の第2セット(S)はジュースにもつれる接戦。28-27のSポイントで、コート左から力強くスパイクを決めてSカウント1-1の同点に追いついた。「このセットは絶対に落としてはいけないという思いだった。仲間の思いも込めてスパイクを打った」と振り返った。高校最後の春高は惜しくも準Vに終わった。「最後まで思いを1つに戦いきろうと話をして自分たちの力を最大限出せたので良かった」と笑顔を見せた。