選抜予選の部男子バンタム級決勝で吉井漣(新潟工2年)が遠藤榛(巻総合2年)に判定勝ちし、20年に同好会として発足した新潟工で初の県王者になった。

狙い澄ました吉井の右ストレートが遠藤の顔面を捕らえた。2回終盤、ロープ際に追い込みヒット。「相手のスタミナが切れているのを感じた。右を当てようと思った」。1回は動きを見すぎて打たれてしまった。それを2回に修正。得意の右で先手を取る。勢いづいた3回も右の強打を浴びせた。5人のジャッジのうち4人が29-28の1点差ながら、5-0の判定で接戦をものにした。

発足2年の新潟工のボクシング同好会で、全国大会につながる県大会を制したのは吉井が初だ。「勝ててホッとした」と笑顔を見せた。同好会に入ったのは一足遅く、2年生になった昨年4月。今回が公式戦3大会目で、判定勝ちした16日の1回戦が公式戦初勝利だった。

経験は浅いが「決勝は思ったよりスタミナ切れしなかった」。昨年の夏休みは校舎の外周コース3周、約2・5キロを毎日走り込んだ。その前後に通常の練習を行うハードメニュー。「これをやった、という自信をつけさせたかった」。太田玲監督(49)の期待通りに体力、精神面は強化されていた。

高校入学直後は建築部に入部したが、「運動がしたくなった」と退部した。母由香里さんが健康目的で通っていた新潟市ボクシング教室に、昨年1月から足を運び始めた。そこで面白さを感じて同好会に入った。それから約10カ月。県の頂点に立ち、視線はさらに上に向く。

北信越予選(28~30日、富山・上市高校)で優勝すると全国選抜大会(20~24日、北海道・札幌市中央体育館)の出場が決まる。「もちろん選抜に出たい」。成長曲線を描きながら初の全国のリングにたどり着く。