フェンシング女子のワールドカップ(W杯)ロシア・ソチ大会が開催された。26日は予選を勝ち抜いた選手による本戦が行われ、日本勢は吉村美穂(24=アイヴァン)がスイス選手の棄権を受けて決勝トーナメント2回戦へ進んだ。

そのラウンド32で16年リオデジャネイロ五輪(オリンピック)フランス代表のコキャンと対戦。一時は12-9とリードを奪う場面もあったが、最後は惜しくも14-15で敗れた。

その後、序盤は試合に参加していたイタリアやフランスの選手のラウンド16以降の棄権が相次いだ。

女子エペのナショナルチームは、ロシア軍がウクライナに侵攻した24日、既に現地へ入っており、W杯出場に備えて調整していた。ソチは、両国が接する黒海に面した都市。昨夏の東京オリンピック(五輪)団体で悲願の金メダルを獲得した男子も合宿中で、チームを指導するウクライナ人のオレクサンドル・ゴルバチュク・コーチも同行していた。

事態の発生後、日本フェンシング協会は代表の青木雄介監督(48)を通じて情報収集に当たり、安全を最優先した上で状況を注視。予定より早くロシアを離れることも模索しながら待機していた。

うかつに決断も行動もできない情勢の中、滞在を継続。25日に予選が始まったものの、次戦の開催地ハンガリーへ移動する際の安全保障の確約が取れるまで、現場は大会主催者や国際フェンシング連盟(FIE)の決定を待つしかない状況だった。

馬場晴菜(24=なとり)はフランス選手に13-15、黒木夢(27=タマディック)はイタリア選手に12-15で、ともに初戦敗退した。

その後、個人戦が終わった段階で安全な出国の確約が取れ、日本協会が「団体戦の参加辞退ならびに今大会の中止または延期を正式に申し入れた」ことを現地時間の26日(日本時間27日)に発表した。【木下淳】