第33回全国高校ボクシング選抜大会が22日、北ガスアリーナ札幌46で開幕する。バンタム級で昨夏の全国高校総体8強の札幌創成川上真生(まさき、3年)は今大会ライト級に出場。親元を離れ1人暮らししながら腕を磨いてきた成果を発揮し、初の全国制覇を狙う。バンタム級では同じ札幌創成の神田輝大(こうた、3年)が初の全国舞台に挑む。

   ◇   ◇   ◇

地元北海道での全国大会を前に、川上は静かに闘志を燃やしている。練習拠点を置く札幌のK&Kボクシングクラブで大粒の汗を流しながら調整に励んでいる。「調子としてはバッチリ。地元開催なので、いろんな方に恩返しできる場面だと思っている。優勝への思いは強い」と気合をみなぎらせている。

少しずつ着実に実績を積んできた。高校入学後、北海道内の公式戦で負けなし。バンタム級だった昨年6月の高校総体道予選で優勝を飾り、全国でベスト8まで進んだ。駒大でボクシングを続けている3つ上の兄海音(かいと)さんは旭川龍谷3年時の19年大会、ライト級で準優勝だった。今回当時の兄と同じ階級での出場に「常に兄の1個上にいきたいと思っている。そうなると優勝しかない」と目標は明確だ。

旭川で生まれ、兄の影響で5歳の時にボクシングを始めた。より打ち込める環境を求め、高校進学を機に札幌にやって来た。最初の約1年は父敬史さん(47)と暮らしていたが、家庭事情などもあり約1年前から1人暮らしが始まった。週に1度両親どちらかが持ち込んでくれる食材を使って肉入りの野菜炒めをつくるなど自炊も行う。「(大変なのは)練習終わりのご飯の用意や洗濯。たまに寝落ちしちゃって、そのまま朝になっていることもあります」と笑う。

厳しい環境に身を置く息子が自立していく姿を母麻衣子さん(47)は日々感じている。「1人暮らしになった時は心配でしたけど、だんだんたくましくなってきた。一生懸命練習する姿も見られるようになってきて、だいぶ不安は消えました。あと1年頑張ってほしい」とエールを送る。川上は「僕は親と離れて札幌で練習をしてきた。地元で恩返しができる形、そういう大会が開かれる。そこで結果を出したい」。支えてくれる両親に勝利のプレゼントを贈る。【山崎純一】

◆川上真生(かわかみ・まさき)2004年(平16)8月15日、旭川市生まれ。5歳の時にタキボクシングジムで競技を始める。昨年6月の高校総体道予選で優勝し全国で8強に進出。家族は両親と兄。血液型A。趣味はマンガを見ること。好きな食べ物は焼き肉とスイーツ。174センチ、60キロ。

<神田、バンタムで「今回こそは」>

神田が初の全国に挑む。今大会はバンタム級に出場。昨年6月の高校総体道予選ではフライ級で決勝に進みながら0-5で判定負けし、インターハイの切符を逃した。「去年負けて悔しい思いをした。地元開催で初の全国なので、今回こそはいい結果を残したい」と意気込んだ。

◆神田輝大(かんだ・こうた)2004年(平16)7月18日、石狩市生まれ。石狩小2年時にボクシング指導員をしていた父の影響で競技を始める。昨年6月の高校総体道予選フライ級で準優勝。家族は両親と弟、妹が2人。血液型B。趣味はマンガを見ること。好きな食べ物は肉。165センチ、56キロ。