14年ソチ五輪ノルディックスキー・ジャンプ男子団体銅メダルの伊東大貴(36=雪印メグミルク)が19日、札幌市内で現役引退会見を行った。ケガが重なり18年平昌五輪後から引退を考え始め、1シーズンずつ取り組んできた。北京五輪後に所属先の原田雅彦総監督(53)らに相談し、決断したという。「9歳から競技を始めて人生のほとんどをスキージャンプとともに過ごしてきた。うれしかったこと、悔しかったこと、つらかったことがあったが、本当に幸せなジャンプ人生でした」と話した。

06年トリノ五輪から5大会連続で代表に選ばれ、W杯は通算4勝を挙げた。世界選手権では13年バルディフィエメ大会混合団体で優勝を果たした。特に印象に残っている試合の1つには12年1月28日W杯札幌大会での初優勝を挙げ「ようやく少しは自分を支えてくれたみんなに結果というかたちで恩返しできたという記憶がある」と振り返った。

会見後の伊藤杯大倉山ナイタージャンプ大会(札幌市大倉山)が国内最後の試合となる。ずっと支えてくれた家族から最後の勇姿を見たいというリクエストもあり、W杯遠征から一時帰国して出場が決まった。W杯初優勝の思い出の地で「楽しんで終わりたい」と意気込んだ。

北海道下川町出身。同郷の先輩、レジェンドこと葛西紀明(49=土屋ホーム)を尊敬し、引退を報告した際には「うっそー!」と驚かれた。「最後まで先輩を追い越すことはできなかったが先輩がいたおかげで長いことやれました」と感謝の気持ちを伝えると、優しくハグしてねぎらわれたという。

4月からは所属先の雪印メグミルクのコーチに就任し、指導者の道をスタートさせる。「自分が経験したことを100%以上還元したい」と描いた。現役ラストゲームはW杯プラニツァ大会(25日開幕、スロベニア)となる。