18年平昌五輪で2つの金メダル、北京五輪の女子団体追い抜きで銀メダルを獲得した姉の高木菜那(29)が5日に会見し、現役引退を表明した。

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笑いと涙が入り交じった。「現役を終えることを決意した」。先月のオランダでの最終レースを思い出し、高木菜は涙を流した。最後の五輪となった北京五輪を振り返り「高木美帆の姉ではなく、高木菜那として自分の意思で氷の上に立てたことが引退を決意した理由の1つだ」とも語った。

妹美帆と比較されることに悩んだ時期もあった。「高木美帆の姉ではなく高木菜那という1人の選手として自分自身を受け入れることができなかった。どんなときも妹の方が速いと、逃げ道をつくっていた。でもその考えを今季変えた。高木菜那として氷の上に立つという気持ちが芽生え、それが今年は本当にできた」と力強く語った。

美帆へは「妹がいたからスケートを続けられた。本当に(美帆が)妹で良かった。妹がいなければ今の高木菜那はいない」とメッセージを残した。

思い出の大会を2つ挙げた。2つの金メダルを獲得した平昌五輪の女子団体追い抜きとマススタート。そして自身が転倒し、連覇を逃した北京五輪の女子団体追い抜きだった。

レース後、美帆から「金メダル以上に価値のあるレースになった」と言われたといい、「そのひと言で、悔しい思い出にするのではなく、自分のスケート人生の一部として歩もうと思えた」とさわやかに笑った。今後は講演活動や競技の普及活動などに力を注いでいく。【三須一紀】