競泳の世界選手権(ハンガリー=6月18日開幕)100メートルバタフライ日本代表の水沼尚輝(25=新潟医療福祉大職員)が20日、長岡市のダイエープロビスフェニックスプールでの練習を公開した。新潟医療福祉大の強化合宿で、日本選手権(27日開幕)の調整も兼ねていた。3月に50秒86の日本新記録をマークしたばかりだが、日本と世界で50秒台連発を狙っている。

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水沼はくつろいでいた。18日から始まった合宿(26日まで)の真っただ中ながら、泳ぐ合間にチームメートと談笑する場面もあった。パラシュートをつけてのスイムなど強度の高い練習でもリラックス。「テーマは余裕を持つ」ことと言う。19年世界選手権(韓国)と東京オリンピック(五輪)はともに準決勝止まり。「世界選手権は決勝の舞台に残ること。自分の中で革命を起こす」。強い意欲を示した言葉にも余裕があった。

もちろん、水中の水沼は真剣そのものだった。メインで取り組んでいるのはターンの修正。「ターンしてから、いかに早くドルフィンキックを打ち始め、初速をつかめるか」と言った。持ち味の後半の粘りにつなげるための練習だ。東京五輪後に強化してきた後半の泳ぎを、さらに進化させるトレーニングだった。

日本選手権も世界選手権本番も、水沼は50秒台のタイムを狙う。「海外では感覚とタイムが一致しない」というズレを修正するため「世界」の前には欧州サーキットでスペイン、フランスを転戦する予定。「僕が大舞台で大きく手を羽ばたかせて、みなさんに幸せを分け与えられればいいなと思う」。水沼は周囲の期待に泳ぎで応える覚悟だった。【涌井幹雄】