リーグ2位の埼玉(旧パナソニック)が決勝進出を飾った。

同3位東京ベイ(旧クボタ)に24-10で勝利。日本代表候補WTB竹山晃暉(25)が貴重なトライを挙げて「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に輝いた。29日の決勝(東京・国立競技場)で東京SG(旧サントリー)とリーグ初代王者を争う。東京ベイは28日、秩父宮でBL東京(旧東芝)と3位決定戦に臨む。

 

磨き上げた嗅覚だった。埼玉が4点リードの前半38分。自陣ゴール前の防御は数的不利だった。竹山は右大外で2人をマークしつつ、外に視線を向ける相手SOフォーリーの目を見た。「いけると思った」。読み通りの飛ばしパス。その間に体を入れ、ボールをかっさらった。約90メートルを走りきり、右手を挙げてトライ。前半7分にSO山沢のトライで先制したが、以降は自陣での防御が続いた。一気に流れを変え「苦しい時間帯で貢献できた」とほほ笑んだ。

父は大相撲元幕下「星鶴王」の和彦さん。力強い走りやキックを武器に奈良・御所実高で花園準優勝、帝京大でも大学日本一と世代のトップを歩んできた。攻撃に自信を持つ一方、埼玉入団後は首脳陣から「防御面で貢献するように」と成長を求められてきた。19年W杯日本代表で医師の道に進んだ福岡堅樹さん(29)から「LINE」で受ける助言は常に防御面。自身と同じ身長175センチの先輩から頭を使う防御の重要性を学び、大舞台に生かした。

決勝の舞台は国立。帝京大時代は改修中のため全国大学選手権で使用されず、意外にも縁がなかった。「国立でできることに感謝して、チームに貢献したい」。代表の新顔としても期待される25歳が、今度も攻守で主役を担う。【松本航】