ラグビー「リーグワン」は29日、東京・国立競技場で初代王者を懸けた決勝が行われる。

埼玉パナソニックワイルドナイツ(リーグ2位、埼玉)と東京サントリーサンゴリアス(リーグ1位、東京SG)の一戦。埼玉はイングランド代表として19年W杯日本大会準優勝に貢献したロックのジョージ・クルーズ(32)が現役最終戦で先発し、メンバー入りが果たせなかったロックのヒーナン・ダニエル(40)も今季で現役生活を終える。

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決勝2日前の27日。埼玉・熊谷市内の練習場に、クルーズの母の姿があった。緑の天然芝の上で親子は言葉を交わし、息子は現役最終戦への思いを明かした。

「プロ選手として、決勝という素晴らしい舞台でキャリアを終えられることを誇りに思います。母が来日できたのもうれしい。一番のサポーターでした。ピッチ内外で母が時間を犠牲にしてくれたお陰で私の今がある。いい形でラグビーのキャリアを終えたいです」

今季最後の全体練習。最後は選手全員で輪を作り、互いのサポートに感謝した。40歳のヒーナンは三洋電機時代の07年から在籍し、22日の準決勝(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦)も先発。決勝はメンバー外となったが、ウェールズ代表キャップを持つ先発CTBのハドレー・パークス(34)が感慨深げに言った。

「彼(ヒーナン)は長く貢献してきた選手。今回は試合に出られないけれど、出る選手が責任を果たしたい。最高の試合になるようにしたいです」

前身のトップリーグでも昨季の決勝で東京SGと対戦。31-26の接戦を制し、頂点に立った。実力が拮抗(きっこう)したライバルとの戦いに向け、日本代表候補のプロップ稲垣啓太(31)は冷静に言い切った。

「何か特別なことをやろうという気持ちはない。自分たちが積み上げてきたものを、準備してきたものを、100%発揮できれば結果がついてくる。まずは自分のやるべきことを、しっかりとやりたいです」

舞台は国立。初代王者が懸かる大切な今季最終戦に、全ての思いをぶつける。【松本航】