宇都宮ブレックスが5季ぶり2度目のBリーグ年間王者に返り咲いた。

前日28日の第1戦を80-61で先勝し、エースの日本代表SG比江島慎(31)やPG鵤(いかるが)誠司(28)にCスコット、今季加入のPFフォトゥとフィーラーがそろって第2戦も躍動。リーグ初年度の16-17年シーズン(当時栃木)以来となる優勝を果たした。

第4クオーター(Q)残り59秒から、引導を渡した8得点を含む、両軍最多の24得点でMVPに選ばれた比江島は、試合終了のブザーが鳴った瞬間、そして場内インタビューで男泣きした。

「すごくうれしいです。去年、同じ舞台で本当に悔しい思いをして、あり得ないプレーをして…。そこからチームとしても個人としても成長できた。チーム一丸となって、この2試合、戦ってこられた。最後、我慢勝負でしたけど、チーム全員で勝てた。1つの夢でもあったので…ここまで長かったけど、やってきたことは間違っていなかった」

宇都宮は昨季も決勝に駒を進めたが、千葉ジェッツとの第3戦までもつれた熱戦の末、敗れていた。その大一番の残り2分、追う焦りからか5ファウルで退場してしまったのが比江島。準Vに終わった責任を背負い込んだ1年後、同じ舞台で悔しさを晴らし、うれし泣きした。

6戦全勝のCSで計112得点とヒーローになった男は、記者会見では最後まで笑顔だった。

「長い道のりだった。(19年に)ブレックスに移籍してきてから難しかった。戦術理解に時間がかかったり、いろいろ言われたり。でも乗り越えて、この1年間が一番、成長を感じられた。竜三さんも信頼してくれたし、証明できたことがうれしい」

その安斎竜三ヘッドコーチ(HC)も「去年の悔しさがマコの成長につながっているんじゃないかな。琉球さんもレギュラーシーズンから本当に強くて、最高最強だった。琉球さんだったからこそ自分たちの力以上のものが発揮できた。このCSを通して最高のチームになれた」と感無量だった。

今季は、長年チームの得点源だったCロシターら主軸が退団。大幅なチーム改変を余儀なくされた。戦力ダウンが懸念されながら東地区4位と粘り、CSにワイルドカードで進出。準々決勝で千葉にリベンジし、準決勝で川崎ブレイブサンダースを振り切った。

日本人初NBAプレーヤーのレジェンド、PG田臥勇太主将は「CSに入ってから特に成長できた」と言う。新外国人もフィットして決勝のステージに戻り、西地区5連覇でファイナル前は2戦2敗だった難敵に2戦2勝。第1戦では田臥も途中出場するなど一丸となっての奪還だった。

対して琉球は、今季リーグ史上最高の年間勝率8割7分5厘の成績を残していたが、最後に力尽きた。沖縄の本土復帰50年のシーズン。エースSG/SF今村佳太や206センチのCクーリー中心に西地区勢、bjリーグ出身勢として初のファイナル切符をつかんだが、宿願成就は来季以降に持ち越した。この初体験を糧にするしかない。【木下淳】