東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会が21日、最終の第50回理事会を都庁で開き「将来のオリンピック・パラリンピックに向けて」と題した提言を公表した。

東京大会で得たノウハウや課題を持って、今年5月10~12日に武藤敏郎事務総長や中村英正ゲームズ・デリバリー・オフィサー(GDO=大会開催統括)が渡仏。次の夏季大会である24年パリ五輪への引き継ぎとして、国際オリンピック委員会(IOC)とパリ2024組織委、OECD(経済協力開発機構)とミーティングを重ねたことを報告した。

その中で、IOCには「大会全体の簡素化・効率化という観点等から、準備期間を短くした方がいいのではないか」と指摘。短期化することで開催都市側の負担が軽減され、立候補の幅が広がる可能性を示したという。そのために「IOCが一般化したモデルタイプを用意することが求められる」とした。

パリ大会に向けては「大会関係者の人数の見直し」を提案。「その分のサービスが根こそぎ不要となる」とした。大会関係者を従来の3分の1以下とした東京大会の簡素化の実績を、コロナ禍を受けた特殊形態として片付けるのではなく「今後の簡素な五輪のプロトタイプとすべき」と、東京のレガシー(遺産)を今後に生かせば、コンパクトで持続可能な大会となり得るとして「開催都市の幅も広がっていくのではないか」と多様化に期待した。

OECDとのセッションでは「コストの大きな塊」の1つとして「会場・インフラ設備」を挙げ、総額を抑えるには「できるだけ既存会場を活用することが重要。できる限りスペックも既存施設に合わせ、追加的に大会仕様とする部分を減らす必要」を意識させた。

また、IOC総会中の5月20日に行われた会議で、東京大会の調整委員長を務めたIOCジョン・コーツ副会長から「IOCによる大会運営へのアプローチ見直しに関する9つの提案」として、大会運営のサイズ最適化などの提案がなされたことも各理事に伝えられた。

パラリンピックスポーツセンターとの意見交換等、大学連携等を提言。そして最後に、時代に変化に合わせた簡素化・軽量化、多様性、参画を求め「スポーツには世界と未来を変える力がある。」(東京2020大会ビジョンより)と締めた。