ノルディックスキー・ジャンプで14年ソチ五輪銀メダルの葛西紀明(土屋ホーム)が“50歳初戦”に臨んだ。31日、北海道・名寄市ピヤシリシャンツェ(ヒルサイズ=HS100メートル)で行われたサンピラー国体記念サマージャンプ大会に出場。77メートル、87メートルを飛び、1回目19位タイから順位を上げて14位だった。6月6日に50歳となり、迎えた初の公式戦。「50歳になった今季は、昨年より優勝したい」と掲げた。

年齢は「全然気にしていない」と、向上心は尽きない。50代になっても細かく体重を管理する。冬の本格的なシーズン中は体重計に1日20回は乗るという。夏は減量し過ぎると体力面に影響が出るため、調整が難しい。この日朝は62.3キロだったが「あと3.5キロくらい絞らないと。1キロ(減量で)2メートル(伸びる)として、5~6メートル加算されれば、いい勝負になる」と前向きに取り組む。

昨季は1月の雪印メグミルク杯で優勝した。4季ぶりの国内制覇で「自信もついた。まだまだ自分の能力というか対応力とかも全然衰えていないと再確認できた」と手応えを得た。今季は「2~3勝はしたい。僕が勝ったり、成績を出すことで『葛西すげー』ってなると思うので」と士気は高い。

9大会連続出場を目指すも逃した北京五輪では所属先の愛弟子、小林陵侑が金メダルに輝いた。刺激を受けた師匠は、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪、札幌市が招致を目指している30年冬季五輪挑戦にも意欲を見せている。五十路(いそじ)になっても、レジェンドは人々に元気と勇気を与え続ける。【保坂果那】