前回優勝者で世界ランキング1位の山口茜(25=再春館製薬所)が、この種目では日本人初の連覇を達成した。東京五輪金メダルで世界ランキング4位の陳雨菲(中国)を21-12、10-21、21-14で退けた。

セレモニーで表彰台に立つと、控えめに両手を上げて歓声に応えた。手にした金メダルをじっと見つめた。会見で、「日本での世界選手権で、1番いい結果を得ることができた。とてもうれしい」と喜びをかみしめた。

相手は東京五輪金メダリスト。ハイレベルな戦いを繰り広げ、「1球1球に集中できた」と胸を張った。 昨夏の東京五輪ではメダルを期待されながらも準々決勝で敗退。独特の雰囲気や緊張感に包まれた中で「いつも通りの自分を貫けなかった」と振り返る。精神的に萎縮して思い切りの良さが消え、守勢に回ることが増えてしまった。「普段は結果を意識することが少ないけれど、そこを考えすぎてしまった」。

その反省を生かした。結果に固執するのではなく、相手に向かっていく気持ちを重視。その結果が、昨年12月の世界選手権初優勝につながった。3月の全英オープンも初優勝。5月には世界ランキング1位に返り咲いた。

大会開幕約2週間前の会見では色紙に「挑戦」と決意の2文字をつづり、「2連覇に挑戦できるのは自分だけ」と説明。「自分の100%がしっかり出せるようやっていきたい。久しぶりの日本開催の大会で、自分自身が楽しめれば」とも口にした。

約3年ぶりとなった国内での有観客試合。持ち味である変幻自在な攻撃を繰り出し、何度も観客をわかせた。大きな手拍子を背に受けて、自分のバドミントンを最後まで貫いた。【奥岡幹浩】