世界56位の西岡良仁(26=ミキハウス)が大金星を挙げた。全仏、全米準優勝で、世界2位のカスパー・ルード(ノルウェー)に6-2、3-6、6-2のフルセットで勝ちベスト4に進出。準決勝では同82位のマッケンジー(米国)-同222位のコバセビッチ(米国)の勝者と、自身4度目のツアー決勝進出をかけ対戦する。

日本男子が世界のトップ2を破るのは、16年全米準々決勝で、錦織圭(32)が当時世界2位のマリー(英国)を破って以来6年ぶり6度目。現行のコンピューター世界ランキング制度が73年に始まって以降、西岡は、松岡修造、錦織圭に次ぐトップ2撃破の日本男子3人目となった。

西岡は、持ち味の左利きから弾む順回転球と、スピードのあるカウンター。それにネットプレーをからめて、穴がないと言われる世界的なオールラウンダーに打ち勝った。マッチポイントで、ルードのフォアボレーがネットすると、西岡は天を仰ぎ、全身で喜びを表した。

バウンドしてからの球足が遅めで、弾むのが特徴という、最も得意なペースのハードコートで、西岡らしさが爆発だ。左利きからのフォアハンドを相手のバックに弾ませ、ミスを誘った。返球が短くなれば、それを一気に攻め込んだ。

錦織同様に、日本テニス協会の盛田正明名誉会長が自費で創設したテニス基金の援助を受け、米フロリダ州にあるIMGアカデミーにテニス留学。錦織を追う日本男子として期待された。20年2月に、自己最高の48位を記録したが、直後から新型コロナウイルスの世界的な感染でツアーは中断。再開しても、バブル方式や検査でストレスがかかり、「全く楽しくない」とストレスを抱えた。

今年1月の全豪では1回戦で敗れ、「このままいけば2年後には引退」。世界ランキングも100位以下に転落し、止めることを示唆するほど追い込まれた。しかし、8月のシティ・オープン(米ワシントンDC)で準優勝すると、やっと西岡らしさが戻り、復活の兆しが見えた。

この勝利で、10月3日に発表予定の最新世界ランキングでは52位に上昇予定。準決勝に勝てば、自己最高位を更新する可能性が高くなった。