新鋭の二階堂蓮(21=日本ビール)が合計255.9点で初優勝した。

2月の北京オリンピック(五輪)で個人ノーマルヒル金メダル、ラージヒル銀メダルの小林陵侑(25=土屋ホーム)の計249.9点を上回った。

二階堂は1回目、2回目ともに全体トップの97.5メートル、98.5メートルを飛び、首位発進から完全V。89年度のラージヒルを制した父の学さんと親子2代制覇を成し遂げた。

「白馬に入ってから調子が良かった。自分のジャンプを見せられた」。8月のチャレンジ杯大倉山サマージャンプでも小林陵を制して優勝。相手が五輪後で調整十分でないとはいえ、金メダリストに初めて勝ったことは大きな自信になっていた。

その勢いで9月のグランプリ(GP)ルシュノフ(ポーランド)大会でも初出場優勝を達成。この日も「2本とも、そろえられた。1回目が陵侑さんと僅差で少しプレッシャーはありましたけど、楽しく笑顔でスタートして実力を発揮できた」。自信は実になっていた。

全日本選手権の優勝、世界選手権の出場、W杯31戦と国内外で活躍した父を持つ。自身も高校3年でW杯に初出場。一方で高校卒業時に企業からは声がかからず、進んだ東海大北海道も競技に専念するため1年で退学。昨季は個人で活動した。

アルバイトで稼ぎながらスポンサーを募り、今年3月にスキー部を立ち上げた日本ビールに所属。支えてもらうことで「心の余裕」ができて、競技力もいっそう向上した。

23日はラージヒルに出場する。優勝したノーマルヒルよりも「ラージヒルの方が得意。優勝を目指したい」と勢いは止まりそうもない。

今後は「W杯の初戦で表彰台に立つくらいの勢いで世界選手権(来年2月、スロベニア)につなげていきたい。大きな目標は世界一」。4年後のミラノ.コルティナダンペッツォ五輪も見据え「五輪で金メダルを取ることが目標」と夢を膨らませていく。【木下淳】