昨季の世界選手権6位入賞を飾ったフランスに、友野一希(24=上野芝スケートクラブ)が帰ってきた。

89・46点を記録して2位発進。首位の山本草太(中京大)と2・96点差につけ「とにかく練習してきたことを信じて、ミスはあったけれど、それ以外ができたと思う」と振り返った。

大歓声が待っていた。3月、補欠から繰り上がりで世界選手権(フランス・モンペリエ)に出場し、SP101・12点の自己ベストを記録した。周囲には「代打の神様」と呼ばれ、異国の地でその名を売った。

「世界選手権ではフランスでショート(SP)はいい演技ができたので、その印象が残ったのかなと思う。前よりもさらに歓声をもらえるようになりました」

今回は“代打”ではなく、当初から名を連ねた代表の1人として、結果を求める立場だ。冒頭の4回転トーループは着氷が乱れ、出来栄え点(GOE)で2・99点の減点。それでも4回転サルコーに2回転トーループをつけて盛り返した。演技後半のトリプルアクセル(3回転半)を決めると、3つのスピン、ステップは全て最高のレベル4。ミスを最小限にとどめ「積んできた練習だけを信じてやれました」とほほえんだ。

5日(日本時間6日)のフリーでは、GP初優勝も視野に入る。

「他国でも、会場を自分の物にできるようなスケーターになっていきたいと思います」

まずは目の前の演技に向き合い、その先にある景色を目指す。(アンジェ=松本愛香通信員)