三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がGPシリーズ2連勝で、2季連続となるGPファイナル(12月、トリノ)進出を決めた。

今季世界最高点で首位発進したショートプログラム(SP)から、フリーも1位の137・91点の1位で、自己ベストの合計点216・16点で完勝した。第2戦スケートカナダで自らが記録した今季世界最高点を更新し、木原は「母国GPで初めて優勝することできてうれしいです」と喜んだ。

冒頭の3回転ツイストから、続く並んでの3回連続ジャンプで木原が踏ん張った。後半のスルー3回転ループも鮮やかに決め、最後のリフトまで世界観に引き込んだ。演技を終えると、三浦は笑顔で「セーフ」のポーズ。「曲(の終わり)に間に合った」と互いに笑い合った。

19年、同じ札幌開催だったNHK杯が2人のデビュー戦だった。結成4カ月目での初戦から3年。カナダを拠点に、強固な絆と技術を積みあげてきた。

2月の北京五輪では日本の団体銅メダルに貢献し、3月の世界選手権では銀メダル。10月のスケートカナダでは日本ペアとしてGP初優勝を飾った。

7月、三浦が左肩脱臼のケガを負い、リフトなど本格的に技を組み込んでの練習は9月からになった。そこから短い期間でのプログラムの作り込みを余儀なくされたが、その過程で確認した「強み」があった。

木原は言う。

「SPもフリーも滑り込みが足りていなかったのと、無意識に動きを合わせようとユニゾン(協調)を意識してしまって」。重心が高くなっていた。ジュリー・マールコット・コーチから伝えられたのが、「膝」だったという。

「『あなたたちの滑りはもっと膝を使ったリズムのいい滑り。もっと使って』って言われて」。

10月中旬に助言を受けて、2人とも意識すると、一気に作品に磨きがかかった。「りくりゅう」の本質の1つ、滑りの柔らかさを意識できたことが大きかった。

昨年のファイナルはコロナ禍の影響で中止になった。2季連続進出の今年は、ようやく上位6組による頂上決戦の場を踏める。木原は「昨年は中止で、ものすごく悲しい思いある。やっと2人でたどり着くことできる舞台。また楽しめたら良いかなと思います」と誓った。日本勢では未踏の地へ挑む。【阿部健吾】