ショートプログラム(SP)3位の佐藤駿(18=明治大)が、会心の自己ベストで逆転2位となり、初のファイナル切符を引き寄せた。

冒頭の4回転ルッツや続く4回転-3回転の2連続トーループなど全ジャンプを決め、演技が終わると、思い切り右拳を振り下ろした。さらに両拳を突き上げて喜びを爆発させた。

フリーの180・62点はパーソナルベストで、合計は262・21点。今大会は3位以上を最低条件に、実質的には2位以上の結果が必要だった中、見事な逆転劇。順位が確定した瞬間、思わず涙を流した。

SP首位のエイモズ(フランス)とは7・37点差だったが、大技連発でひっくり返した。同じく出場権を争っていた同4位のメッシング(カナダ)も優勝に届かなかったため、佐藤に出場権が舞い込んだ。

ファイナルは12月8~11日、イタイア・トリノで行われる。19年のジュニアGPファイナルで優勝した思い出の地へ、再び。くしくも当時のフリー得点で、これまでの自己ベストだった177・86点を3年がかりで更新し、呪縛も解き放った。

「フリーは今までずっと180点に届かなかったので、ようやく超えられて良かったです」。ファイナルについては「やることはやったので悔いはないです」と晴れやかな表情で語った直後、吉報を見届けて、万感の涙がこぼれた。

今年2月10日、夢の出場を果たせなかった北京オリンピック(五輪)フリー当日に左肩を手術。初夏までのリハビリをへて復活し、シニア初の最終決戦に駒を進めた。日下匡力コーチとも喜びを分かち合った。

メダリスト会見では「ファイナルに出られると思っていなかったので、率直にうれしい。(優勝した米国のイリア・)マリニン選手をはじめ、トップの選手が集まるので、上位に食い込んでいけるように頑張りたい。思い入れの深い会場にまた行けるということで、またいい演技ができるように頑張っていこうと思います」と実直に語っていた。(エスポー=松本航)