2大会ぶり28回目出場の福岡工大は、天国の仲間とともに意地の3トライを奪った。

ベンチに1枚のジャージーを飾って挑んだ同志社大戦。前半だけで5本のトライを許し0-35と大きくリードされた。

迎えた後半。最初のトライを奪ったのは福岡工大だった。同6分にロック小杉龍海(4年=東海大福岡)がインゴールへ飛び込む。さらに突き放されても諦めず同30分にプロップ鍋島秀源(4年=輝翔館)、終了間際には途中出場の沖本翔一(3年=石見智翠館)が加点した。

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出され、世の中の動きが止まった2年前の5月のことだった。2年生部員の清水航平さんが、一時帰省していた岡山で交通事故に遭い、この世を去った。岡山・玉島高時代には冬の花園で活躍した選手。まだ19歳の若さだった。

この日、花園ラグビー場には清水さんのジャージーがあった。ラガーにとっての憧れの地に、戻ってきたのである。

名門の同大を相手に点差が開いても、福岡工大のメンバーがトライにこだわったのは、仲間の後押しがあったからだろうか。同学年のSH福山浩太郎(4年=大分舞鶴)は「2年前に亡くなりましたが、(今も)部員とともに戦っています」と思いを明かした。

宮浦成敏監督は「私たちは九州を代表してここに来ました。チャレンジャー精神で、失うものは何もなかった。リズムに乗れない時間もありましたが、今季1番のアタックを見せてくれた」と選手をたたえた。

1回戦からの登場で八戸学院大、環太平洋大に勝利。目標のベスト8には届かなかったが、聖地で挙げた3トライはきっと、仲間に届いた。