ソチ五輪団体銅メダリストの竹内択(35=チームtaku)が4季ぶり優勝を果たした。

1回目に最長不倒98メートルを飛び首位に立ち、2回目は90メートルで逆転を許さず、合計243・0点だった。この日W杯メンバーらは不在だったが、18年10月の全日本選手権ノーマルヒル以来の頂点に「優勝できると思っていなかった。久しぶりで素直にうれしいです」と喜んだ。

19年に北野建設を退社し「チームtaku」を立ち上げた。プロ選手として、スポンサー集めなどの活動を開始。競技との両立は「こんなにも難しいのかと直面した」。それでも諦めず続け、現在所属選手は4人、竹内への支援企業は6社に増えた。後押しへの感謝の気持ちはいっそう強まり、「スポンサーのためにもって気持ちは企業チームの時にはなかった。(優勝を)報告したい」と話した。

「チームtaku」として目指すのは日本ジャンプ界を盛り上げること。「試合があること自体ありがたいが、もっとお客さんが来たり、楽しんでもらえる演出を」と求める。海外遠征で欧州のジャンプ人気を間近で来てきた。文化の違いは理解するが、日本でもエンターテインメントとしての発展が目標だ。20年から3年連続でジュニア向けの大会「チームtaku杯」を開催。「ノウハウを培って、いつかシニアの大会ももしかしたら出来るかも」と、ビジョンを描いている。

もちろん大前提はジャンプ選手としての活躍。4大会連続を目指した今年2月の北京五輪は代表入りを逃した。期間中テレビの解説を務めたが「選手としてやっている以上、金メダルを目指している。選手として結果を出せるようにとあらためて思った」。14年に団体でともに銅メダルを手にした葛西紀明(50=土屋ホーム)は当時41歳。自身が42歳で迎えることになる30年五輪へ「そこまでは自分のパフォーマンスを高めていきたい。葛西さんはすごいなって思う。指標があるから狙いやすい」と、レジェンド超えに意欲を見せている。この日の1勝を、復活につなげていく。【保坂果那】