開志国際が悲願の初優勝を決めた。福岡第一に88-71で快勝した。今夏の全国高校総体(インターハイ)決勝と同カードになったが、1点差で逆転負けした夏のリベンジを果たした。

22-27の第2クオーター(Q)は相手を無得点に抑えながら、5連続3点シュート。5本中、1年生PG平良宗龍が4本を沈め、突き放した。中学教員から開志国際を率い9年目の富樫英樹監督(60)は中学日本一(08、10年)、インターハイV(18年)に続き、ウインター杯のタイトルも手にした。

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コートで抱き合い、初Vの喜びを爆発させる選手たちを見ながら富樫監督は小さく右手に握り拳を作った。終了2分前から、すでに両目は潤んでいた。76-77で逆転負けした夏を挽回する17点差の快勝。長男で東京五輪代表PG富樫勇樹(29=千葉)が1回戦負けした昨年の試合を観戦して「弱えェなぁ」と言って帰ったのを人づてに聞いているが、その言葉も払拭(ふっしょく)する強さ。この日は決勝観戦に訪れていたが「辛口だから優勝しなかったら、何を言われるか分からない」と笑った。

相手から反撃の気持ちを奪うような連続加点だった。22-27の第2Qだ。PG平良が派手な“打ち上げ花火”を連続で放った。相手をスコアレスに抑えながら2連続で3点シュートを決める。PG沢田竜馬(2年)の1本を挟み再び2連続だ。富樫監督は「頼もしい1年生」と最下級生の強心臓ぶりを話した。

冬を制するまで9年を費やした。中学教員時代は新発田市の本丸中で08年と10年の全中で中学日本一を経験。開志国際でも18年にインターハイで優勝した。しかし中学と高校の強化サイクルの違いに最初は対応できなかった。中学では夏の全中でピークを作り、全中後は1、2年生の新チームに切り替わる。「俺が冬に弱かった。高校でも夏以降は新チームのことが頭にあった。『ここからどうする?』と」。今年は春先のコロナ禍でチームの熟成は遅れ、悔しいインターハイ準優勝を糧に選手たちがまとまった。

SF介川アンソニー翔(3年)が30得点。両輪で奮戦するPF武藤俊太朗(同)が20点。コートで躍動する選手たちが身につけたユニホームの胸に記してあるのは校名ではなく、愛称だ。アルファベットで「RED TIGERS」。富樫監督が62年の寅(とら)年生まれ。学校創立の14年に1期生として入学してきた生徒の干支(えと)も大半が98年の寅年生まれだった。くしくも今年の干支は寅年。赤いトラたちは決勝のコートで牙をむいた。【涌井幹雄】

◆男子ベスト5 武藤俊太朗、介川アンソニー翔、バシール・ファイサル・モハメッド(以上開志国際)、轟琉維、城戸賢心(以上福岡第一)

▽介川アンソニー翔(30得点8リバウンド4アシストでチームをけん引) インターハイで悔しい思いをして、頑張って練習して、高校のバスケットを気持ちよく終えられた。