史上4校目の高校3冠を目指すAシード報徳学園(兵庫)が、Bシードの天理(奈良)に26-12で勝利し、初の決勝進出を決めた。

堅い守備が強みの相手から4トライを奪取。体を張るFWが奮戦し、3冠へ“あと1勝”となった。23大会連続出場でAシードの東福岡は、京都成章に45-17で勝ち、6大会ぶり決勝で7回目の優勝を目指す。コロナ禍で中止になった昨春選抜大会「幻の決勝」と同じ顔合わせとなった。

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「報徳エナジー!」。ロック柏村がほえた。すると、全員で「エナジー!」と応える。スクラムやラインアウトの前に声を出して気合を入れる、チームの新しい風習。大学選手権での明治大や早稲田大のコールを見て、メンタルで負けないように今大会の開幕前から始めた。

そのエナジーコールが効いた。準々決勝(3日)の東海大大阪仰星(大阪第3)戦では、前半立て続けに2本のトライを献上。この日もそのシーンが選手の脳裏をよぎったが、コールで場の空気を変えた。前半16分にWTB長谷川が先制トライで流れを捉えると、同29分にも大外で待ち構えていたNO8石橋がトライ。得意のアタックがはまり、天理にリードを許すことなく決勝切符を手にした。

2試合連続のトライを決めた石橋は「みんながつないでくれたボール。最後までトライにつなげられて良かった」と振り返る。「リーチ・マイケル2世」とも評されるエイトマン。この日も積極的にボールに絡んでチームを引っ張った。

準決勝で戦った天理は、練習試合で何度も顔を合わせてきた。互いに手の内も知っている。現体制では、昨春のワールドラグビーユース予選リーグで白星を挙げるも、昨年8、11月の練習試合では惜敗していた。

石橋ら、今大会最多8人の高校日本代表候補選手を擁する「史上最強チーム」は、初の決勝の舞台へ。相手は東福岡に決まった。東福岡とは、昨春の選抜大会決勝で戦うはずだったが、東福岡の対戦相手から新型コロナウイルスの感染者が出たため、決勝戦は中止。不戦勝での優勝となった。

優勝はしたが…。直後、PCR検査後に行った東福岡との練習試合は10-37で敗れ、初の全国制覇も素直には喜べなかった。今度こそ決勝を制し、心の底から「優勝した!」と叫びたい。3冠達成へ意気込む挑戦者が、1年間の全てをぶつける。【竹本穂乃加】

▽報徳学園・西條監督(59) いい試合だった。FWが体を張って安定的にBKにボールを供給できてた。もともとポテンシャルが高い子たちだけど、基本に忠実に戦えるようになった。(決勝進出は)子どもたちより僕の方がすごいと思ってると思う。

○…天理の18大会ぶりの決勝進出は、報徳学園に断たれた。0-12で前半を終え、後半11分、ラインアウトからモールを押し込みトライ。主将のNO8太安は「強みのFWを全面に出そうとハーフタイムに話した」と明かした。報徳とは今年5回目の対戦。「お互いやりたいことを分かっていた。最後まで天理らしくひたむきに動こうと掲げた」。松隈監督も「あと1歩の所まで追い詰めることができた」と選手をたたえた。

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