名門レイカーズに移籍した八村塁(24)が、本拠地のスパーズ戦で新天地デビューを果たした。途中出場で21分31秒プレーし、12得点、6リバウンドで勝利に貢献。この日の八村のプレーぶりや、名門チームで求められる役割について、NBAコメンテーターの塚本清彦氏が語った。

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八村の移籍デビュー戦は上々の内容だった。まず、「キング」レブロン・ジェームズをはじめとする豪華メンバーの中に違和感なく入り、堂々とプレーできていたことが素晴らしい。いきなり20分以上のプレータイムを与えられたことも期待の表れ。第4クオーターでは1点差に追い上げる3点シュートを決め、チームに勢いをもたらした。

ボールを持っていないシチュエーションでも手を抜かずに走れることは、八村の真骨頂。数字には表れづらい部分だが、今日は文句なしの内容だった。レイカーズの組み立て役は、リーグ屈指のゲームメーカーであるレブロン。この日そうだったように、八村がしっかり走ればレブロンからいいボールが回ってくる。ウェストブルックやブライアントはウィザーズ時代にもチームメートだった。同年代の若い選手も多く、八村としてはやりやすさがあるだろう。

レイカーズは八村の加入で戦力の厚みが増した。ウェストブルックをベンチスタートで起用していることからも分かるように、現在のNBAは先発陣と入れ替わる「セカンドユニット」の存在が重要。長丁場のシーズンを勝ち抜くには総合力がカギで、八村にはその役割が求められる。

レブロン、ウェストブルックとともに「ビッグ3」と称されるアンソニー・デービス(AD)も、この試合から復帰した。攻守において存在感を発揮し、チーム最多21得点に加えて12リバウンド、4ブロックをマーク。ADがいることによる守備面での波及効果は特に大きく、ベバリーやシュルーダーの好スチールにもつながった。

レイカーズは故障者が多く西地区13位に甘んじているとはいえ、この地区は大混戦。連勝を重ねれば一気にプレーオフ圏内が見えてくる。レイカーズ反撃の可能性は十分。八村にはそのキープレーヤーになってほしい。

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大を経て日本鋼管に入社。ポジションは主にポイントガードを務め、日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はテレビやインターネット放送でNBAやBリーグの解説を行う。