女子ダブルス、混合ダブルスを制した早田ひな(22=日本生命)が、女子史上4人目の3冠を達成した。

木原美悠(18=エリートアカデミー)を4-2で下し、3年ぶり2度目の優勝。3冠は18、19年に2年連続で達成した伊藤美誠(スターツ)以来となり、山泉和子、石川佳純、伊藤に続く快挙となった。

開始から2ゲームを連取されたが、焦らない。第3ゲームで11―5と圧倒して反撃を開始。一気に流れを変えて、そこから逆転した。

混合ダブルス6試合、女子ダブルス5試合、そしてシングルス6試合。17試合に及ぶ今大会の戦いを、全て白星でまとめた。何度も対戦してきたトップ選手を退ける一方、対戦経験が少ない相手も多かった。

混合ダブルスでは「どういうサーブを出すのか分かりにくい。ビデオを見て、どういうのがあるんだと把握して、試合に入ってから調整したい」と口にし、女子ダブルスでも「時間があまりなかったので、めっちゃ話し込む感じじゃなかったけれど(試合に)入る時に(パートナーの伊藤と)『台の感覚と相手のボールを見てやろうね』と話して入っていった」と明かすなど対応力が光った。

基本的に練習をやりこむ性格。それを大会中はあえて抑えることも意識した。

「スケジュールが詰まっている中で『これと、これと、これをやったらいい』という、そこは去年よりも時間の使い方がうまくなっていると思います」

故障を避け、状況に適応しながら結果を出す。3冠は心身の充実と、経験の蓄積が重なった結果だった。

1年後の全日本選手権まで続く24年パリ五輪(オリンピック)代表選考レースは、折り返し地点に差し掛かる。大会前時点で首位に立っていた早田は優勝で60点を加算し、通算224点で首位を独走。今大会の準優勝で156点となる2位の木原に68点差をつける。

大会中に早田は誓った。

「どういう状況でも自分が100%じゃないと、選考レースを勝ち上がれない。(仮に)勝ち上がっても中国選手に勝つまでの技術、精度に至らない。選考レースでも常に進化しないといけない」

今後の選考レースは加算ポイントが増える大会が続く。確かな自信と向上心を携え、パリまでの残り1年半を突っ走る。【松本航】

◆今大会で加算されるパリ五輪代表選考ポイント数

1位=60点、2位=50点、3、4位=40点、5~8位=25点、16強=10点、32強=5点

◆大会前の選考ポイント上位8人

〈1位〉早田ひな(164点)

〈2位〉伊藤美誠(117・5点)

〈3位〉平野美宇(109点)

〈4位〉木原美悠(106点)

〈5位〉芝田沙季(102点)

〈6位〉長崎美柚(97点)

〈7位〉石川佳純(87点)

〈8位〉佐藤瞳(69点)