22年北京五輪銀メダルのロコ・ソラーレが、チーム初の日本選手権2連覇を達成した。
通算4度目の優勝。初制覇を狙ったSC軽井沢クラブを下した。1-0の第2エンド(E)に不利とされる先攻で2点を挙げると、第3Eもスチール。序盤から優位に進めて6-2で折り返した。後半もリードを守り抜いた。今大会の優勝で、3月の世界選手権(スウェーデン)の出場権を獲得した。コロナ禍で20年大会が中止になったこともあり、ロコ・ソラーレの出場は銀メダルを獲得した16年以来6年ぶり2度目となる。
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チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SC軽井沢クラブ | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | × | 5 |
ロコ・ソラーレ | 1 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 7 |
試合経過
第1エンド
ロコ・ソラーレが後攻 赤いストーンがロコ・ソラーレ。先攻のSC軽井沢クラブは黄色ストーン。ロコ・ソラーレ藤沢のラストショットは、相手ストーンをはじき出し、自身のストーンはハウス内に残り1点を先制。ブランクエンドにはならず、先攻後攻が入れ替わる形に。
第2エンド
SC軽井沢クラブが後攻 ガードストーンを置き、ハウス内にストーンがたまる展開に。NO・1から3まで赤のロコ・ソラーレという状況で、SC軽井沢クラブのサード江並の1投目がダブルテイクアウトのナイスショット。しかし、スキップ金井のラストショットがどのストーンにも当たらず、NO・3となるミスショット。ロコ・ソラーレが思わぬ形で2点スチールに成功。3点リードを奪った。
第3エンド
SC軽井沢クラブが後攻 序盤はガードが置かれるシーンが目立った。ロコ・ソラーレはサード吉田知がNO・1~3まで確保して相手にプレッシャーをかける。藤沢は1投目で好位置のNO・1を残しガードを置く選択。対するSC軽井沢クラブ金井はガードに当ててNO・1に当てられず。藤沢2投目でガードにもなる位置でNO・2も確保。金井はブランクエンド狙いのラストショットも、ダブルテイクアウトに失敗。連続スチールを許す。
第4エンド
SC軽井沢クラブが後攻 ロコ・ソラーレは一転してハウス内にストーンをためる。これ以上離されたくないSC軽井沢クラブも応戦。スキップのショットを残し、NO・1~3まで確保した。金井の1投目でも状況を維持。NO・2と3は平行で置かれた。難しい状況で迎えたロコ・ソラーレは最終投で意地のナイスショットを見せ、ビッグエンドを阻止。しかしSC軽井沢クラブが2点を返した。
第5エンド
ロコ・ソラーレが後攻 4投を終え、ハウス内に5つ石がたまる展開。SC軽井沢クラブサード江並は密集したストーンを弾こうとするも、ストーンはハウス内にたまったまま。NO・1、2がロコ・ソラーレでビッグエンドになりそうな気配へ。藤沢の1投目でNO・1~4まで確保して壁をつくり、SC軽井沢クラブの進路を阻む形に持って行った。SC軽井沢クラブは相手ストーンの間をすり抜けようと試みて、NO・3を確保。大量失点の危機をしのいだ。だが2点を奪われ、前半戦はロコ・ソラーレの4点リードで終えた。
第6エンド
SC軽井沢クラブが後攻 SC軽井沢クラブがストーンをためるも、ロコ・ソラーレ吉田知がダブルテイクアウト。しかしSC軽井沢クラブのサード江並が、相手ストーンの裏に石を投じ、複数得点の可能性を残した。ここで、ロコ・ソラーレ藤沢が絶妙な位置でNO・1を握った。しかし、重圧に負けず、SC軽井沢クラブ金井は最終投でNO・1もはじき出しNO・3も外に出して、NO・1と2も確保する好ショットと本領発揮。連続複数得点で2点差に迫った。
第7エンド
ロコ・ソラーレが後攻 SC軽井沢クラブは最終投で、NO・1~3まで確保。ロコ・ソラーレはヒット・アンド・ステイで1点を取らされる形でリードを広げる。
第8エンド
SC軽井沢クラブが後攻 有利な後半で複数得点が欲しいSC軽井沢クラブはストーンを円内にためていたが、ロコ・ソラーレ吉田知にダブルテイクアウトを許した。ロコ・ソラーレがNO・1と2を確保した状況で、金井が最終投でブランクエンドに持ち込み、後攻を第9エンドも取る形に持ち込んだ。
第9エンド
SC軽井沢クラブが後攻 2点以上を狙いたいSC軽井沢クラブ。終盤、ロコ・ソラーレはNO・1を確保した状況で、ガードを置く。金井は無理はせず、1点を奪って、第10エンドで2点スチール狙いを選んだ。
第10エンド
ロコ・ソラーレが後攻 序盤、SC軽井沢クラブはセンターガードを置き、ロコ・ソラーレは先にNO・1と2を確保する展開に。SC軽井沢クラブはサードが投じる前にタイムアウトを取った。サード2投目で円内のストーンを増やしに行くも、失敗。ここでロコ・ソラーレがタイムアウトで作戦を確認。円内の相手ストーンをはじき出した。この結果、SC軽井沢クラブの逆転が不可能となり、コンシードで試合終了。
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■カーリングとは
氷上で「ストーン」と呼ばれる取っ手がついた円形の石を、約40メートル先の円(ハウス=半径1・83メートル)目がけて滑らせる。その円の中心により近づいたチームに得点が与えられる競技。2チーム(1チーム4人)の対抗で行われ、総合得点で勝敗を争う。高度な戦略が必要となることから「氷上のチェス」とも呼ばれている。
■競技の見どころ
「氷上のチェス」と言われるだけに、両チームのスキップ(4人目)の戦略や駆け引きが最大の見どころ。スイーパー(氷を掃く人)に的確な指示を出してより精度の高いショットにするのはスキップの腕次第だ。また、ピンポイントで狙う高度なショットも魅力で、ハウス内のストーンの動きに注目すればより楽しめる。1回の攻守を「エンド」と呼び、10エンドまで行われる。第5エンド終了後には5分間のハーフタイムをはさみ、また1分間の作戦タイムなど随所に休憩を取ることができ、選手はその間に補食をとることが多い。
■ルールと競技方式
1チーム4人と補欠(リザーブ)で構成。各エンドでは2チームが交互に、1人2投ずつ行う。投げる順にリード→セカンド→サード→スキップ(司令塔)と呼ばれ、それぞれに役割がある。エンドごとに得点が決定し、10エンドの合計点で競い合う。同点の場合は延長戦を行う。
各エンド終了時に、ハウスの中心に一番近いストーンを投げたチームに得点の権利が与えられる。相手チームよりも中心に近いストーンが複数ある場合は、その数だけ得点が入る。得点の権利が得られなかったチームは必ず0点。
自チームのストーンの距離を伸ばしたり、方向を調整するために氷を掃く(スイーピング)ことができる。ブルームと呼ばれるブラシを使い、掃くことで氷上のツブを溶かしてストーンの滑りを良くする。「マイ・ブルーム」もある。スキップは相手チームのストーンをスイーピングできるが、ハウスの中央を横切るライン(ティーライン)より後ろでしかできない。
相手チームのストーンに自チームのストーンを当ててハウスからはじき出すことも可能だが、各チームのリードが投げ終わるまではフリーガードゾーンにあるストーンをプレーエリアから出してはいけない。
■道具
ストーンは直径約30センチ、重さ約20キロ。スコットランドのアルサクレイグ島の花こう岩でつくられる。1個約20万円。試合では会場で用意されたストーンを使い、「マイ・ストーン」は使えない。
シューズは右投げの場合、左の靴底はテフロンなどで滑るようになっていて、右の靴底には滑り止めの円状のくぼみが開いている。スイープの時は、滑らないように左の靴の上にスリッパのような形のグリッパーを履く。
■主なショット
【ドロー】 ストーンをカール(回転)させて円の中などにストーンを止めるショット。
【カム・アラウンド】 置かれているストーンの後ろに、軌道が曲線を描くように回り込んで止めるショット。前のストーンにガードされ、はじかれにくい。
【フリーズ】 円の中にあるストーンにピタリとつけるショット。ストーンがくっついていると、はじき出されにくい。
【ピール】 置かれているストーンに当てて、自分のストーンと当てたストーンの両方ともに円の外に出すショット。円の中に多くのストーンを残したくない時に使う。
【ヒット・アンド・ステイ】 置かれているストーンに当て、自分のストーンは、その場に止めるショット。
【ヒット・アンド・ロール】 置かれているストーンに当て、投げたストーンは、他の場所に動かして止めるショット。
【レイズ・テークアウト】 置かれているストーンに当て、そのストーンで、もう1つのストーンをはじき出すショット。投げたストーンと、最初に当てたストーンは円内に残す。
■主なかけ声
【ヤップ、イエス】 掃け
【ウォー、ノー】 掃くな
【オフ、アップ】 掃くのをやめろ
【ハード】 もっと一生懸命掃け
【ハリー】 掃全力で掃け
【クリーン】 軽く掃け
■歴史
16世紀にスコットランドで誕生したといわれる、世界で最も古い団体競技の1つ。放たれたストーンが、髪の毛が「カール」するようにゆっくりと回転することから「カーリング」という呼び名になった。五輪では、男子は1924年の第1回シャモニー大会で採用されたが廃止され、32年レークプラシッド大会以降は公開競技として行われていた。1998年長野大会から男女で正式種目となり、2018年平昌大会から混合ダブルスが加わった。日本勢は長野大会から連続で参加。18年平昌大会で女子のロコ・ソラーレが初メダルとなる銅メダルに輝いた。