引退会見に臨んだ国枝慎吾さん(38=ユニクロ)が、未来の車いすテニス界を担う後継者への思いを口にした。男子選手で名前を挙げたのは小田凱人(ときと、東海理化)。1月の全豪オープンで準優勝した16歳へ、直々に思いを託したことを明かした。

自身のSNSで引退を発表する2週間以上前。小田へ自ら電話をかけた。全豪オープンのダブルス欠場とともに、1つの願いを伝えた。

それは昨年7月のウィンブルドン制覇後に、ロッカールームで「もう終わったわ」と漏らしたことについて。

「あの時に言ったけど、もうこれ以上、自分自身がテニス競技をやることはない」。そして「車いすテニスを引っ張ってくれ」と続けたという。

国枝さんは若手の台頭に喜びを感じ始めていた。

「どんどん海外にチャレンジしている。自分のやってきたことが、彼らに少しでも影響を与えられたのなら、やってきた意味があったなと思える」

車いすテニスのけん引役は、次世代へ受け継がれていく。【藤塚大輔】