14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、昨夏プロ転向した羽生結弦さん(28)のスケーター史上初となる東京ドーム単独アイスショーが行われた。

アンコールでは2曲を舞い切った。

この日のために作曲された「ギフト」の演奏から「春よ、来い」へ移行していく。登場。11曲目には、昨年2月の北京オリンピック(五輪)最終日のエキシビションでも演じ、世界中を感動させた曲を準備していた。

3回転ループやディレードアクセルを、プロジェクションマッピングに自身もとけこませて舞う。ハイドロブレーディングも深く決め、最後の曲へ向かった。

続いて、ビッグエッグに響き渡ったのは、あの笛の音だった。「SEIMEI」。スペシャルバンドが演奏する間に衣装を早替えすると、ステップのタイミングで再び氷上へ帰還。渾身(こんしん)の演技で締めくくった。

最後はバックナンバーの「水平線」に乗って演奏や演出に感謝。ファンには、こう言葉を贈った。

「正直、ここまで来るのに、めちゃくちゃつらかったです。めちゃくちゃ頑張って練習してきました。練習したことが、報われねえなって思うこともいっぱいありました。皆さんの期待に応えられるか本当に分かんなくて、つらい時期もありました。誰の心に残らないことも、目に焼きつくことのない日々も…」

「でも、やっぱスゲート好きでよかったです」

「本当にありがとうございました。今日という日が皆さんの人生にとって、今日だけでもいいんで記憶の中に残って、つらい霧の中で、少しでも帰れる日々となりますように、帰れる記憶となりますように、本当に、ありがとうございました」

最後に「ちょっとだけ、ちょっとだけ静かにしてくださいね、頑張るんで」と呼びかけて、いつもの地声で。

「ありがとうございましたぁ!」

バックヤードへ帰っていく羽生さん。右手を広げ、最後は背中で、スケーター史上初となる東京ドーム公演を、伝説の2・26を、歴史に残る一夜を締めくくった。