競泳の男子100メートルバタフライの日本記録保持者・水沼尚輝(26=新潟医療福祉大職員)が16日、練習を公開した。

同大水泳部員と合宿中で、長岡市のダイエープロビスフェニックスプールで泳ぎ込んでいた。昨年10月に腰痛を発症してスランプに陥ったが、苦境を逆手にとってフォームを改造。世界選手権(7月=福岡)の代表選手選考を兼ねる日本選手権(4月=東京)へ、まっしぐらだった。

日本記録50秒81を保持していても、水沼は進化を止めない。昨年の世界選手権(ブダペスト)では100メートルバタフライで銀メダルを獲得。五輪を含めた世界大会で、同種目では日本勢初の表彰台となったが「過去の結果は僕の中では通過点」と言った。昨年10月の故障発症から約1カ月のブランク。落ちた筋力と持久力はトレーニングで回復したが、タイムは故障前に戻らなかった。そんな苦しい時期の発想転換だった。

「『元に戻す』ではなくて、1歩先を目指す」とフォーム改造に着手した。下山好充監督(51)は「両手が入水した時の姿勢は水の抵抗が強く、減速しているのが映像で分かった。具体的には水面に入水していた手を、少し低い位置に変えた」と言う。この日は計3670メートル泳いだが、改造フォームを意識して取り組んだ。「実力拮抗(きっこう)のレースになると思う。ハラハラして見てほしい」と水沼は日本選手権100メートルバタフライ決勝をイメージしていた。【涌井幹雄】