「かなだい」が国別に帰ってきた。

先月の世界選手権11位の村元哉中(30)高橋大輔(37)組(関大KFSC)が、自己ベストまで1・18点に迫る78・38点をマーク。高橋はシングル時代以来10年ぶり、村元は前パートナーと出場して以来6年ぶりの舞台で、RD4位となった。女子ショートプログラム(SP)は世界選手権2連覇の坂本花織(23=シスメックス)が2位に入った。17年以来3大会ぶり3度目の優勝を狙う日本は36点で暫定3位。首位には50点の米国が立った。

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2人は会場いっぱいに幸せを届けた。かなだいがリンクに現れると、ボルテージが一気に上昇。観声を浴びた高橋は思った。「お客さんのパワーを生で感じられるのは、こんなにも素晴らしいことなんだ」。喜びをかみしめながら舞った。演技を終えると、温かな拍手が響く中、お互いに声を張った。村元が「よっしゃ!」と言えば、高橋は「とりあえず『フォ~!』って叫んでました」。視線をかわし、笑い合った。

カップル結成3季目。成長の跡を示した。世界選手権でミスしたツイズルはスコアを1・83点伸ばし、終盤のリフトも最高評価のレベル4を獲得。今季最終戦で、結果で応えた村元は「全てうまくいった。タイミングが1つ1つ合っていた感覚がありました」と胸を張った。高橋も「やっとシーズン最後に、きれいに締めくくれた」と破顔した。

その奮闘ぶりは恩師にも届いていた。リンクサイドで見守っていた長光歌子コーチ。高橋がシングル時代に指導を受けた。普段、ダンスを教わっているズエワ・コーチが拠点の米国に帰国中のため、高橋が今大会への同行を依頼。その長光コーチは、演技冒頭こそ心配そうな顔で手を組んでいたが、後半はノリノリで手拍子を送った。「先生は(頼まれて)困ったかもしれないですが、一緒に試合に立てるのは僕にとってうれしいこと。楽しんでもらえたらいいな」。37歳になった教え子は瞳を輝かせた。

今日14日のフリーダンスでは「オペラ座の怪人」を披露する。高橋は07年、同じ東京体育館で開かれた世界選手権のシングルに出場し、同曲をフリーに使用して日本男子初の銀メダルを獲得した功績がある。「16年前にこの会場で滑ったのを最後に、今度はこの会場で2人で滑る。最高の演技で締めくくれたら」。思いを込めた舞いで、21歳の時のように、再び見る者を魅了していく。【藤塚大輔】

◆世界国別対抗戦 8度目の開催となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目、優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。日本の他に米国、カナダ、韓国、イタリア、フランスが参加。SP、フリー(アイスダンスはリズムダンス、フリーダンス)ごとに区切り、総合得点での順位は得点としない。各出場者(組)の総合得点はISU公認記録となる。