女子78キロ超級の18、21年世界選手権女王、朝比奈沙羅(26=ビッグツリー)が3回戦で敗退した。

初戦の2回戦は78キロ級の梅津志悠(26=JR九州)に一本勝ち。延長戦も含め8分13秒、払い腰で力強く巻き込んだ。

しかし、続く3回戦。試合巧者の宇野友紀子(28=JR東日本)に敗れた。階級が2つ下の70キロ級でスピードに手を焼き、技を繰り出せない。再び延長戦に入って9分32秒、打開策を見いだせないまま3つ目の指導を受けて反則負けした。

放心状態。納得の調整を重ねたつもりだったが、結果が付いてこなかった。それを誰よりも信じられないのは自分だった。背水の陣で16強止まりだった。

「重量級とやる前に終わってしまった。悔いが終わる。悪くなかったとは思うけど“いいところを見せないと”“しっかり持てば投げられる”と思って、そこに固執し過ぎて技出しが遅くなってしまった」

そう反省した元世界女王は20年4月から栃木の獨協医大に通う。畳では24年パリ五輪(オリンピック)を目指す“闘う医学生”。両立で多忙を極める中、負傷明けだった昨年10月の講道館杯、今年4月の全日本選抜体重別選手権ともに初戦敗退に終わっており、今大会に懸けていた。

直接の代表選考会ではないとはいえ、パリへ復活Vが不可欠だった大会。17年以来2度目の日本一には返り咲けなかった。

「あくまでパリ」と、目指すは「私の中で取れてない唯一のタイトル」。すなわち五輪の金メダルで変わらない。ところが「今の結果では、ふさわしい人間ではない」と胸中を打ち明ける場面もあり、今後については大きく揺れている。

「中途半端な気持ちで目指すつもりはないです。気持ちに変化が出た時、柔道をやめるのか、学校を休むのか。しっかり自分の心と向き合って決めたいです」

【木下淳】