レイカーズ八村塁(24)の4年目が終わった。

シーズン途中にウィザーズから名門チームに移り、プレーオフの大舞台で目を見張る活躍を見せた。そんな八村の現在地や来季について、NBAコメンテーターの塚本清彦氏が語った。

  ◇  ◇  ◇

西カンファレンス決勝は4戦で決着がついた。球宴後のトレードでメンバーを入れ替えて立て直してきたレイカーズに対し、ナゲッツはチームとしての熟成度が大きく上回っていた。ヨキッチ、マレーの2本柱を中心に一体感があり、さすがレギュラーシーズン1位チームだと感じさせた。

それでも八村にとって、NBA4年目の今季は間違いなく最高のシーズンだった。ウィザーズから名門レイカーズへと移籍し、レブロン(ジェームズ)やAD(アンソニー・デイビス)といったスーパースターとプレーオフの大舞台に立った。このことは、今後のバスケ人生において貴重な経験となるはずだ。

西地区1回戦、同準決勝、同決勝と、プレーオフを通じてどんどんステップアップした。昨季まで2年連続MVPのヨキッチと対峙(たいじ)した守備での奮闘はもちろん、攻撃力も光った。今シリーズ第2戦では、前半だけで17得点をマーク。この時間帯に放ったフィールドゴールは7本すべて決めた。リバースレイアップ、アリウープからのダンク、そして3点シュートと、多彩なスコアメークを見せてくれた。

移籍当初は外角シュート力と守備力を持つ「3&D」プレーヤーとしての役割を求められ、プレーオフでも48・7パーセントと高い3点シュート成功率を残した。加えて、短期決戦を通じてプレーのレパートリーが増え、オールラウンダーとしての可能性も示しつつある。

まだ25歳。伸びしろはまだまだ残している。ナゲッツとの第4戦で決めたダンクは、ジャンプ後に最高到達点へと届く前のシュートだった。後半、決めれば同点の場面で放った3点シュートが外れたことは、技術面の問題ではなく経験値によるものが大きい。

成長過程にあるからこそ、5年目の来季は、とんでもないことを起こしてくれるのではないか。そんな期待さえ抱いている。プレーオフでの目覚ましい活躍については、フロントも高く評価しているはずだ。所属先については今後の交渉次第だが、レイカーズに残ってレブロンとさらに1年過ごすことになれば、楽しみはさらに増す。

カリフォルニアに本拠地を置くプロスポーツチームには現時点で、米大リーグのエンゼルス大谷翔平、NBAのレイカーズ八村塁が所属する。それぞれのシーズンが重なるのは4月から2カ月程度。コロナ禍も一区切りを迎えつつある中で、来年はこの貴重な期間に、さらに多くのスポーツファンがロサンゼルスを訪れることになるかもしれない。

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大を経て日本鋼管に入社。主にポイントガードのポジションを務め、日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はテレビやインターネット中継でNBAやBリーグの解説を行う。