「ちばりよー(頑張れ)」の声援に応え、悲願の頂点に立った。レギュラーシーズン西地区1位の琉球が、同東地区1位の千葉Jを88-73で破ってチャンピオンシップ(CS)決勝2連勝とし、初のBリーグ優勝をつかんだ。西地区チームのVはリーグ創設7年目で初めて。優勝賞金5000万円を獲得した。

CSのMVPはアレン・ダーラムが受賞。決勝2試合を通じて最も活躍した選手に贈られるファイナル賞は、第2試合で途中出場ながらチーム最多21得点のコー・フリッピンが選出された。

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琉球の初優勝を告げる試合終了のブザーが鳴ると、横浜アリーナに歓声と指笛が響いた。桶谷大監督はコート上で開口一番、言った。「この会場が沖縄アリーナに見えます」。いつも背中を押してくれる本拠地の風景に重ね合わせた。

リーグ史上最多1万3000人を超える観衆が詰めかけ、スタンドの半分は琉球ファンが埋めた。そのうち約2000人は沖縄県からかけつけた。会場のファンだけではない。テレビ越しに声援を送り続けてくれたうちなんちゅう(沖縄の人)にも伝えた。「沖縄のみなさん、おめでとう~! 沖縄に優勝トロフィーを持って帰れることがすごくうれしい」。

相手有利の下馬評を覆した。今季の千葉JはB1新記録の24連勝を樹立し、桶谷監督も「史上最強」と敬意を表していたほどのチーム。ここまで1度も連敗していなかった。そんな強敵から大舞台で2連勝。得点源の富樫やスミスの3点シュートを抑える戦略が奏功した。指揮官は「ゲームプラン通り、選手たちが本当に頑張った」。やはり決勝で顔を合わせて敗れた3月の天皇杯決勝のリベンジを果たした。

全員バスケを体現するかのように、ベンチスタートのメンバーがこの日も躍動した。桶谷監督は「年間を通してチームで戦うことをやってきて、それがファイナルで出た。感無量」。昨年は宇都宮に敗れて準優勝だった悔しさも晴らした。

沖縄出身の母を持つフリッピンは、途中出場でチーム最多21得点をマーク。「キングスが設立された頃から、おじいちゃんはチームの歴史を見ている。優勝はプライスレス。本当に価値がある」と誇らしげに言った。司令塔役を務める名護市出身の岸本は「今日に至るまで、いろいろな人が力を尽くして戦ってきた。沖縄にとって意味のある優勝になった」と力を込めた。

沖縄初のプロチームとして07年に創設された。地域密着を掲げたbjリーグで優勝4回。Bリーグ統合後も西地区の強豪として毎年ポストシーズンに駒を進めてきた。21年には1万人収容可能な新本拠地、沖縄アリーナが完成。今夏開幕のW杯の舞台にもなる。bjリーグ時代も指揮した桶谷監督は「プロチームとして地域に根ざした活動をしてきた」。南の島のクラブは、日本バスケの新たな象徴でもある。【奥岡幹浩】