混合ダブルス決勝で加藤未唯(28=ザイマックス)ティム・プッツ(ドイツ)組が、ビアンカ・アンドレースク(カナダ)マイケル・ビーナス(ニュージーランド)組を4-6、6-4、10-6で破り、優勝した。昨年大会でオランダ選手と組んだ柴原瑛菜に続き、2年連続で日本人選手が制した。加藤は女子ダブルス3回戦で失格となった悔しさを糧に、4大大会初制覇を成し遂げた。

優勝の瞬間、加藤は両手を挙げて、喜びを爆発させると、プッツと抱き合い、喜びを分かち合った。

表彰式ではパートナーのプッツがマイクを持つ中、「ここまでチャレンジングな日々でした。ダブルスからいろいろなことがありました。みなさんからポジティブなエネルギーをもらって頑張ることができました。ダブルスで失格処分になりましたが、全力を尽くしました」と言葉を詰まらせながら話した。

加藤の声がコートに響く。支えてくれた仲間たちの思いを胸に、一打一打に気持ちを込めた。「今でも思い出したらちょっとつらいけど、たくさんの方の声がすごく励みになっている。その声に応えられるように明日、頑張りたい」。前日7日の準決勝後に話した通りの全力プレーで、97年の平木理化、22年の柴原瑛菜に続く日本人3人目の全仏での悲願を成し遂げた。

4日の女子ダブルス3回戦。加藤の返球がボールガールの頭部に直撃し、危険な行為とされて失格となった。大会の運営責任者に動画の確認を求めたが、つっぱねられ、対戦相手の抗議で失格を言い渡された。「パートナーに申し訳ない」と、涙を流してコートを後にした。

その後の会見でも、涙を流すなど憔悴(しょうすい)した様子を見せた。だが、観客からの温かな「加藤コール」、パートナーのプッツの「いい思い出を作ってあの出来事を忘れて欲しい」という献身的な支えがあった。そして、7日の準決勝で対戦した女子ダブルスの相棒アーディラ・スーチャディ(インドネシア)の「決勝、頑張ってね」という声が、後押ししてくれた。

逆境をはねのけて、4大大会初制覇。加藤の涙が、笑顔にかわった。

 

◆加藤未唯(かとう・みゆ)1994年(平6)11月21日生まれ、京都市出身。8歳でテニスをはじめる。京都市立修学院小-立命館宇治中-立命館宇治高。出身クラブは「パブリックテニス宝ケ池」。プロ転向は13年10月。シングルスでは17年のジャパン女子オープンで準優勝、ダブルスでは穂積絵莉とのペアで17年全豪オープンでベスト4などの実績がある。最新の世界ランキングはシングルス410位、ダブルスは31位。156センチ。ザイマックス所属。

 

◆4大大会における日本選手の複、混合での優勝◆

 

(1)34年 ウィンブルドン 混合 三木龍喜、ラウンド(米国)

 

(2)55年 全米 男複 宮城淳、加茂公成

 

(3)75年 ウィンブルドン 女複 沢松和子、キヨムラ(米国)

 

(4)97年 全仏 混合 平木理化、ブパシ(インド)

 

(5)99年 全米 混合 杉山愛、ブパシ(インド)

 

(6)00年 全米 女複 杉山愛、アラールデキュジス(フランス)

 

(7)03年 全仏 女複 杉山愛、クライシュテルス(ベルギー)

 

(8)03年 ウィンブルドン 女複 杉山愛、クライシュテルス(ベルギー)

 

(9)22年 全仏 混合 柴原瑛菜、コールホフ(オランダ)

 

(10)23年 全仏 混合 加藤未唯、プッツ(ドイツ)

 

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◆放送 全仏オープンテニスはWOWOWで連日生放送。WOWOWオンデマンドでは日本人選手の試合が全試合ライブ配信される。