フィギュアスケートのアイスショー「ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~」の練習がこのほど公開され、ロロノア・ゾロ役の田中刑事(28)、サー・クロコダイル役の無良崇人(32)が会見に臨んだ。
横浜公演(8月11~13日、KOSE新横浜スケートセンター)、名古屋公演(9月2~3日、ドルフィンズアリーナ)へ向けて、ショーの完成度を上げる稽古も最終段階。人気アニメが初めてアイスショーとなった記念の舞台に、それぞれの思いを語った。
<セリフがあるアイスショー>
-本番が近づいてきましたね。
無良 すごく楽しいです、やっている側も。見てる方もすごくスケートファンの方も、ワンピースが好きな方も楽しんでいただけるような形になってると僕らは思ってます。楽しみにしててほしいです。
田中 僕も最初お話いただいた時は、たぶん皆さんと一緒で、どういう形になるかわからなかった。いま、完成に近づきつつ、すごいものを作ってるなというのは、僕らも自覚しながら楽しく、その楽しさがみなさんに伝われば良いなと思います。
-演者として感じていることは。
無良 まず、原作のイメージで、例えば腕が伸びるなどの演出的な部分がどうなっていくんだろうなとか、それを僕らがどう演じればいいんだろうなっていうところが、不安、疑問に思っていたものだったんですけど。でも、そういうところは、「あ、なるほどね」「こういう見せ方も確かにあるよね」っていう部分だったり。やっていて1番は、セリフに合わせることですね。フィギュアスケーターが合わせることは基本ないので、そこの感覚が難しかった事でもあり、はまった時の快感じゃないですけど、それは感じれるところだなと。
田中 僕らは音楽を聞いて、それに合わせて踊ったりしますが、それとはまた別にセリフに合わせて、しぐさ、リアクションを、すごく、こういう感じでやれば伝わるんだなっていうのは、この期間でつかめました。
-演じる上での難しさは。
無良 僕らがやってることの中で、動きは大体完成してきて。そこに表情、あとはセリフに対してどういう意図を持って発してるからこういう動きになるということをもっと理解して、自分たちが動けなきゃいけないところには今なってきてます。例えばイラついてる、なんでこうなんだっていうのを表現したいから、もっとこういう表情で、もっとこうしてっていうのを教えてもらいながら作ってやれている。それで、どんどん自分自身が入り込んでいく。だから、役者さんの気持ちって、こういう気持ちなのかなとすごく感じましたし、例えば「ワンピース」をもう1回見直してみたり、違う映画だったりとか見てみても、今までにない見方をしています。
-それぞれがお互いを見て感じることは。
無良 ゾロの一番の見せ場は殺陣。難しさでもあるし、見せ場だと思います。あの刀の重さを振り回し、しかもくわえて滑る。普通のスケーターにない感覚なので、やっている姿を見て「すごいな」って思いましたし、見れば見るほど動きがゾロに寄ってくるというのは感じましたね。
田中 クロコダイルが今回ですとラスボスの立ち位置ですけど、僕はどっちかというと、ラスボスとか悪の親玉的なキャラクターがすごい好きなので。カリスマ性というのは、最初、衣装ない中で、手を挙げているだけでクロコダイルだなと。衣装着て、メークもすると「まんまや」みたいな。魅力的なカリスマ性がありますね。
<「次のマーケットに」>
-「ワンピース」がショーになると聞いた時の感想を教えてください。
田中 ついにアニメのアイスショーが、と。しかも「ワンピース」で。「まじか!」と思って。どうやるんだろうっていうのは、その後からついてきたんですけど。やっぱり僕は大好きなアニメが大きなアイスショーとして出来るというのがすごいテンション高くなりました。
-ゾロ役の刀は重さがありますか。
田中 剣自体は軽いんですけど、それを腰に付けて滑るのが難しいですね。ジャンプ、スピンは不可能なので(笑い)。僕のパートはジャンプ、スピンを見せるのではなく、ゾロらしく殺陣を使ったシーンなので、難しい部分を感じさせないように滑って、戦い見せたいです。(敵対する相手と)1対1で滑ることも僕は楽しいと思える。氷で滑ってる時間以外でも、話し合いながら、「こうしよう」って相談している時間もすごく楽しんでます。
-無良さんは数々のショーに出演されてきましたが、スケーター側から見て、新しいフィギュアの可能性、こんなこともできるんだという発見はありますか。
無良 まだ初回公演がスタートしてるわけではないですけども、ここまでやってきた感覚の中で、どうしてもフィギュアスケートは1人1人が滑る、入ってきて、また次の人が入ってくるシステムで、今までのショーは主にできていると思います。1つの題材をキャスト全員で、それぞれが演目ごとに出てきたり、はけたりしながら、1個のものを全員でやるショーは、あんまりないですよね。特にアニメという題材の部分も大きいですし、それだけフィギュアスケートの次のマーケットって言ったらいいのか、あらたにスケーターに興味を持ってもらう人を増やすのには、いいキーワードで今回入ってるんじゃないかなと思います。多分広げようによってはいくらでもあると思ってるんで、いままでどうしても舞台などが先行してアニメを劇化をする形があったと思いますが、スケートに今回落とし込んで、それでまたどんどんフィギュアファンを増やしていく、魅力を伝えられれば、それはもう願ってもないことだと思いますし、そういう意味でのプレッシャーを僕らは感じています。
<三刀流「かみやすい」>
-悪の親玉を演じることについては。
無良 元々、なんていうんですかね、なよっちいキャラではないので、スケーターとして。そういう部分を、これなら、ほんのちょっとの顔の角度やたたずまいで出していけるかもという気持ちはあって。自然に自分が入って、意外とすんなり。おれって普段、そんなに悪く見えてるのかな、とも(笑い)。まあでも、全然キャラ違うよね、という感じよりは、やっていて、こういう風にしていったらどうなるのかっていう方向にどんどん気持ちが変わっていったのは、すごく大きかったかな。
-田中さんは出番じゃない時も刀を振ってましたね。
田中 稽古に入っている時はイメージトレーニングしてますね。全部「こうしてほしい」ではなく、全ての動きに振り付けがついているわけではないので、考えてますね。実際に振ってみて、どう次の技にいこうかを考えて研究してます。昨日刀のセットが届いて、それまでは木刀で、その時は1本刺していたんですけど、3本付けて滑るようになったので。しっかりした小道具でもあるので、難しそうにみせずに滑りたい。制作陣の本気度を感じますし、みんなで本気になってます。三刀流なので、口にくわえる時もかみやすいものを用意してもらい(笑い)。助かってます。
無良 衣装などは再現度がすごいです。メークして衣装を着て鏡の前に立ったときに、みんな「すごいな」って。演者側も、衣装合わせするまで想像つかなかった。「おお、まんまクロコダイルだな」ってツッコミしてしまうぐらい。やっぱりそれだけちゃんと寄せてもらってるから、スタッフのみなさんが、どれだけ自分たちがやるものに対して、いい形を作ろうとしてくれてるかっていうのをすごく感じられます。はまきくわえるのも最初はきついなって思いましたけど(笑い)
-最後にメッセージをください。
田中 本当にワンピースが好きな方もそうですし、スケートが大好きで応援してくださってる方も、本当にいろんな方にみていただきたい。本当にいろんな可能性がアイスショーだと思います。
無良 どんなカテゴリーのファンの方にも、楽しみにしてきていただいて、その期待を裏切らない、それぐらいのものになってきていると思います。あと数日の仕上げで、もっともっとクオリティーの高い状態にして、初日を迎えられればいいなと思います。見ていただき、アニメ、フィギュアスケートという両方を自分の好きなものに加えていただければなと思います。
◆出演者と役は以下。
モンキー・D・ルフィ 宇野昌磨
ロロノア・ゾロ 田中刑事
ナミ 本田望結
ウソップ 織田信成
サンジ 島田高志郎
トニートニー・チョッパー 渡辺倫果
ネフェルタリ・ビビ 本田真凜
コーザ 友野一希
クロコダイル 無良崇人
ミス・オールサンデー 小川真理恵
Mr.2ボン・クレー 本郷理華