2大会連続の五輪出場を目指す世界ランキング5位の日本が、まさかの黒星を喫した。

同19位のエジプトにフルセット負け。2セット連取から追いつかれ、最終セットで競り負けた。主将の石川祐希(27=ミラノ)は西田とともにチームトップの24得点をマークしたが、勝利につなげられなかった。辛勝した前日フィンランド戦に続くフルセットの戦いに敗れ、勝ち点は3。大会後半に世界ランキング上位の米国(同2位)、スロベニア(同6位)、セルビア(同9位)との対戦を控えており、今大会でのパリ五輪切符獲得に痛すぎる1敗となった。次戦は、3日に同18位のチュニジアと対戦する。

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肩を落とし、唇をかみしめていた。代々木体育館に歓声はなく、音楽だけが響いた。通算対戦成績19勝5敗と大きく勝ち越していたエジプトに、まさかの逆転負けを喫した。関田、小野寺、西田、高橋藍…。試合後のミックスゾーンでは、それぞれが目を赤くしながら言葉を絞りだした。最後に残った主将石川は言った。「これが今の僕たちの力だと思う。今日は負けてしまったので後は勝つしかない」。いつもの力強さがないその言葉が、敗戦のショックを物語っていた。

完勝ムードが一変した。2セットを連取して迎えた第3セット(S)。後がなくなった相手はなりふり構わずぶつかってきた。その勢いに徐々にのみ込まれ、序盤から背負ったビハインドそのままに、このセットを失った。同じく2-0から逆襲を許した前夜フィンランド戦の記憶が脳裏をよぎる。石川は「昨日と同じようにしちゃいけない。それを逆にプレッシャーに感じながらプレーする自分たちがいた」と明かした。傾いた流れを止められず、そのまま3連続でセットを奪われ力尽きた。

前日、高橋藍が終盤の課題に指摘したコミュニケーション不足は「集まって話す機会は多くなった」(石川)と改善の兆候がみられた。にもかかわらず、勝ちきれなかった。石川は「原因が分かっていれば立て直せている」と吐露。ブラン監督も「非常に予想外の敗戦。明日チームで目を見ながら話し合って探りたい」と話すしかなかった。

痛恨の敗戦で2戦を終えて勝ち点は3。ネーションズリーグ銅メダル、アジア選手権優勝チームが窮地に立たされた。指揮官は、大会前に腰痛を抱えていた石川について「やはり準備期間の時に腰のケガで良い準備ができていなかった。そういった状況の時、彼は自分で調子を上げていく選手。このまま、少しずつパフォーマンが上がってきてくれることを期待している」と話した。五輪切符を得るのは上位2チーム。終盤は米国ら強豪国との対戦が待つ。もう1戦も落とせない。落ち込んでいる暇はない。【勝部晃多】

◆パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。ブラジル(プールA)、日本(同B)、中国(同C)で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠は、来年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合はVNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯バレーでの大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。

◆W杯バレー順位決定方法

(1)勝敗 (2)勝ち点 (3)セット率 (4)ポイント率 の順で決定。

勝ち点の獲得条件は【3-0または3-1で勝ち】=3点、【3-2で勝ち】=2点、【2-3で負け】=1点、【1-3または0-3で負け】=0点。

日本は初戦フィンランド戦にフルセット勝利(勝ち点2)、第2戦エジプト戦でフルセット負け(1点)。第2戦を終えて1勝1敗の勝ち点3で、米国(2勝・勝ち点6)、スロベニア(2勝・勝ち点6)、セルビア(1勝1敗・勝ち点3)に次ぐプールB4位となっている。