日本(世界ランキング4位)が正念場のラスト3連戦に突入し、まず通算3勝1敗で並んでいたセルビア(同9位)に3-0でストレート勝ちした。3連勝。首位の米国(同2位)に1-3で敗れたスロベニア(同7位)と4勝1敗の勝ち点12で並んだものの、セット率で上回って2位に浮上した。8チーム中上位2カ国に与えられる来夏パリ五輪(オリンピック)切符の獲得に前進。翌7日の結果次第で2位以内が確定する。1992年バルセロナ大会以降、男女とも遠ざかっていた「五輪前年の出場権獲得」の32年ぶり達成が見えてきた。

最初に流れを引き寄せたのは、今季から副将を託されるオポジット西田有志(23=パナソニック)だった。第1セット(S)8-8から強烈なスパイク、サービスエースとたて続けに決めて一歩抜けた。これで今大会サーブ部門で全体1位の12得点目。日本の攻撃陣をけん引した。

負けたチームが五輪出場切符争いから脱落する1敗対決。セルビアは先発3人が身長2メートルを超える高さとパワーが武器。これまで4試合でMBネデリコビッチが11本、OHイボビッチが9本のブロックを決めて全体1位だったが、第1Sは0本に抑え、反対に日本が石川祐希(27=ミラノ)と高橋藍(22=モンツァ)が各2本の4本、ブロックを決めて25-17で先取した。

勢いは第2Sに入っても衰えなかった。12-9からエースの石川がスパイクとサービスエースを決めて2連続得点。16-11からは西田が得意のサーブで相手のレシーブを崩し、自らスパイクも決めるなど4連続得点。25-14と攻撃力で圧倒して連取した。

第3Sは一転、リードされる展開に。最大4点ビハインドの劣勢下、石川主将のバックアタックや西田のスパイクで追いすがる。宮浦健斗(24=パリ)で19-19とし、高橋藍で20-19。ついに勝ち越した。その後も西田のワンハンドレシーブ、石川のスパイク、高橋藍のバックアタックでストレート勝ちをもぎ取った。

龍神、完全復活。五輪出場権の獲得ラインと目される6勝1敗へ後がない状況だったが、2連勝した4日のトルコ(世界15位)戦後に西田は「自分たちがやってるバレーは間違っていない。これはもう気持ちの問題。足を絶対に止めないようにひたすら動きまくるのが日本の強みなので、あと3戦しっかりやりたい」と決意を口にしていた。言葉通り、日本は止まらなかった。

開幕フィンランド(世界29位)戦はフルセットの末、辛勝。第2戦はエジプト(同19位)に2-0から痛恨の大逆転負けを喫したが、3日のチュニジア(同20位)4日のトルコ、そしてセルビアと3連勝。本来のプレー、そして今夏ネーションズリーグ(VNL)で主要国際大会46年ぶりメダル(銅)獲得の自信を、完璧に取り戻した。

7日は22年の世界選手権4位スロベニア、最終日8日はVNL2年連続準優勝の米国戦が待つ。強豪国との2連戦に、ピークを迎えた日本が勢いをつけて臨む。

両軍最多16得点の西田「今日は僕は散々でした。足首はひねるわ、ボールが顔に当たるわ…。でも気持ちだけは世界一だと思ってるので! 絶対、負けないです。もっともっと良くなるし、自分に厳しくやっていくので、応援よろしくおね…(かんで苦笑い。翌7日にもパリ五輪確定の可能性に)僕たちはやるだけなので。どういう展開になろうと必ずチーム全員で勝ちます!」

14得点の石川「チームメートに助けられましたし、3セット目はチーム全員でつかんだ勝利だと思います。非常にいい状態ですし、まだまだ上がります。次も非常に強い相手だと思いますし、点数やセット数とか考えず、勝って次につなげます!」

14得点の高橋藍「(流行ポーズで)ひき肉でーーーす! 最高でーーーす! 本当に皆さんの力のおかげで、非常にいいバレーボールができましたし、本当に救われています。ありがとうございます。最高でーーーす! 必ず(五輪)切符を取って、皆さんと一緒に喜びましょう!」

◆パリへの道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯は、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。ブラジル(同A)、日本(同B)、中国(同C)で30日に開幕し、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠はネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯で出場権を逃した場合は、VNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯での大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。