日本オリンピック委員会(JOC)と札幌市は11日、都内で合同記者会見し、札幌での30年冬季五輪・パラリンピックの招致を断念し、34年以降の開催を目指す方針を明らかにした。この日、JOCの山下泰裕会長と札幌市の秋元克広市長が会談し最終決定した。

開催支持率は伸び悩み、21年東京大会の汚職・談合事件の影響も大きく響いた末の決断。34年以降としたことについて、山下会長は「34年は(米国の)ソルトレーク(シティー)がかなり有利と認識している。素晴らしい競技会場を準備されている。市民の支持率も高い」と言及。「もう1度しっかり計画を見なおして、魅力的な形での大会開催案を提示していく。1つ1つ地道に努力を重ねながら信頼を得ていくことが大事だと思ってます。34年、簡単ではないということは十分に認識してます」と険しい顔で見渡した。

秋元市長も「海外情勢など、いろいろな形で状況を見極めていかないといけないが、かなり厳しい状況」と34年の実現性を説いた。「なぜ支持が広がらないでいるのか、しっかり分析して、見直し案を策定していく」と述べた。

 

◆札幌市の冬季五輪招致を巡る経過

2014年11月 上田文雄市長(当時)が26年大会の招致を表明

18年9月 北海道地震発生。市は国際オリンピック委員会(IOC)に招致断念を伝え、目標を30年大会に切り替え

20年1月 日本オリンピック委員会(JOC)が30年大会の国内候補地を札幌市に決定

22年12月 IOCが30年大会開催地決定を先送り。札幌市とJOCは積極的な機運醸成活動を当面休止すると発表

23年4月 札幌市長選で招致推進派の秋元克広市長が3選を果たす一方、反対派も一定の票を獲得。JOCの山下泰裕会長は34年大会への目標変更も視野に入れ、札幌市と協議する方向性に言及

同6月 スウェーデン・オリンピック委員会が30年大会の招致活動を本格化させると表明

同7月 フランスの東部、南東部の2地域圏が30年大会招致に乗り出すと表明

同10月 札幌市が30年大会の招致を断念する方針を固めたことが5日判明