【重慶(中国)9日=松本航】フィギュアスケート女子の渡辺倫果(21=TOKIOインカラミ/法政大)が、思い出の中国に足跡を刻む。

10日にショートプログラム(SP)が行われるグランプリ(GP)シリーズ第4戦中国杯に向け、本番会場で公式練習に参加。SP曲をかけての通しでは後半のループ-トーループの連続3回転の2つ目で転倒したが、与えられた40分間を使って念入りに調整した。中庭健介コーチと柔和な表情を見せる場面もあり「非常に滑りやすい。氷はだいぶ硬め。比較的いい印象を、練習で得られることができました」と振り返った。

中国杯は初出場で、中国も初めて…と思いきや、苦い思い出があるという。

高校1年生のころ、日本から当時拠点としていたカナダ・バンクーバーへ向かう乗り継ぎが北京だった。だが「そこで“事件”がございました」という。

「飛行機に乗り遅れといいますか、置いていかれまして…。野宿しました。空港の固い椅子で…。LINEも全然使えないし『どうしよう…』となって、スナップチャットでカナダの友達に連絡して、友達からコーチ、コーチから親に連絡してくれて、高校1年生、悪魔の一人旅をしました。それ以来の中国です」

そんな過去もある一方、バンクーバーのホームステイ先の家族とは中国語でも話していたことがあり「初めて来るのに、心なしか、すごく落ち着く感じがあります」と笑顔を見せた。

GP第2戦のスケートカナダは6位。シリーズ2戦上位6人が進むファイナル(12月、北京)進出は非常に厳しい立場とあり「ショート、フリーが終わって、笑顔で『スケートをやっていて良かったな』と思えるようなものにしたいです。今後につながる演技を目指して、楽しくできればと思います」と言い切る。自らが満足する演技を目指す。