【重慶(中国)=松本航】GP第2戦スケートカナダ6位の渡辺倫果(21=TOKIOインカラミ/法政大)が65.09点を記録し、2位発進した。

ダブルアクセル(2回転半)、3回転ルッツ、後半のループ-トーループの連続3回転と3回のジャンプを着氷。フィニッシュポーズを解くと、ほっとしたようなしぐさで、前かがみになってリンクに頭をうずめた。

「カナダの時に、精神的にも結構過去イチきつくて。プラスで体調は崩すし、もう正直どうしたらいいか分かんない状況で。ただ腐らずに、中国までの期間、ほんとに体調悪いながらも頑張ってこれた」。コロナウイルスやインフルエンザではないが、1日11時間寝るほど体調異変に襲われていた。その中で、演技を貫徹できた。自身を鼓舞するような結果に、言葉に力強さがよみがえっていた。何より、まとまった演技ができたこと、それ以上に1つの感情が前を向かせた。「スケート楽しいな」。アイデンティティーを確認するような滑りになった。

衣装は青を基調とした新たな1着だった。今大会を前に「両方ともめっちゃ気に入っています」とSP、フリーともに衣装を一新。SPは気分転換の意図もあり、青のグラデーションを採用していた。

飛躍した昨季はGPファイナルに初出場。第1戦の結果から2季連続出場には厳しい立ち位置だが、「今後につながる演技を目指して、楽しくできれば」と思いを口にしてきた。「今シーズンまでがたくさんの、良くも悪くもたくさんの経験ができるシーズンだと思っている」と冷静な視座も持つ。

カナダの失意から復活の中国へ。フリーは11日。華やかな重慶のリンクで、存在感を示す。