【重慶(中国)=松本航】2季連続のGPファイナル(12月、北京)進出が懸かる山本草太(23=中京大)は75.48点で8位と出遅れた。

4回転-3回転の連続トーループは着氷したが、続く4回転サルコーが3回転になり両手をつくと、後半のトリプルアクセルでも着氷が乱れて出来栄え点で減点となった。演技を終えると、悔しそうに宙を見つめた。

第2戦スケートカナダでGP初優勝したことが、精神面に影響した。「今回、やっぱりファイナルだったり、前回のスケートカナダだったり、そういったものが少しよぎってしまう、少し集中が研ぎ澄まされていなかったな」。今大会の結果でかかる2年連続のGPファイナル出場。無心に近い心境で挑めたカナダでのSPと違い、余計な考えが頭に入り込み、ジャンプを乱した。

特にサルコーは「跳べるかな…」というわずかな不安が、思い切りを奪ったという。「『絶対に跳ぶぞ!』っていう気持ちで臨んでいかなきゃいけないのに」と流れを失った跳躍を猛省した。

カナダでは表彰台の頂に立った結果への満足はありながらも「内容的にはすごく悔しいフリーになった」とし、転倒した前半のトリプルアクセル(3回転半)を何度も練習してきた。「今大会も本当に挑戦者という立場で臨んでいきたい。自分が練習でやってきたことを中国で出したい」。表彰台が頭をよぎる立ち位置だが、自らの演技に集中しようとはしていた。

大阪・岸和田市で生まれ、小学生の頃から切磋琢磨(せっさたくま)してきた友野一希(上野芝スケートクラブ)とは今大会も競演。私生活でも仲の良い友人だが、プライドもにじむ。

「昨年もGPシリーズ2戦とも一緒で、世界選手権、アイスショーも一緒に出られた。仲のいい戦友ではあるんですけれど、氷の上では僕が勝てるように『今回もしっかりと僕が勝つぞ』という気持ちで、頑張っていきたいと思います」

友野は6位。互いに不本意な位置で迎えるフリー(11日)だからこそ、互いに奮い立って巻き返したい。