【重慶(中国)=松本航】第2戦スケートカナダでGP初優勝で山本草太(23=中京大)は、6位に終わった。SP8位発進も、フリー170・10点の合計245・58点で巻き返した。

冒頭の4回転サルコーを決めると、続く4回転トーループでは「左腰が回りすぎてしまって…」と回避も考えたが、「もう後はないと思って思い切って」と成功させた。4回転-2回転の連続トーループも決め、続くトリプルアクセル(3回転半)は着氷時に乱れたものの、その後も落ち着いて滑りきった。

「昨日やるまではすごくファイナルのことを意識して演技していたけど、今日は吹っ切れて思い切っていこうって思った。演技中、全くファイナルのことを考えなかったっていうわけではなかったんですけど、緊張感ある中でもなんとか踏みとどまることができた」。演技終了後は何度もうなずいた。

キスアンドクライで得点を待つ間には「SOTA」タオルで顔を拭い、会場を笑いに包むなど笑顔も見せた。

前夜は反省の言葉が続いた。冒頭の4回転-3回転の連続トーループを着氷させながら、続く4回転サルコーが3回転に抜け、トリプルアクセル(3回転半)も乱れた。第2戦スケートカナダでGP初優勝を飾り、シリーズ2戦上位6人のGPファイナル(12月、北京)進出も視野に入る大会。意識せぬうちに「やっぱりファイナルだったり、前回のスケートカナダだったり、そういったものが少しよぎってしまった。集中が研ぎ澄まされていなかった」と本来の良さを出し切れなかった。

上位を目指したフリー。今の地力が試される場だった。「緊張感のある中での演技というものを、さらに磨いていけたらなって思っています」。SP後に掲げた課題は、伸びしろ。「日本に帰って、ショート、フリーともにまた練習し直したいなって強く思いました」と、目の色を変えていた。