東海大が、劇的な逆転勝利で史上3校目の3連覇に王手をかけた。

福岡大にセットカウント0-2と追い込まれたが、そこから3セットを連続奪取。宮部愛芽世(あめぜ)主将(4年=金蘭会)が、強烈なスパイクで窮地を救った。今日3日の決勝では、春季&秋季リーグを制した筑波大と対戦。リーグ戦では連敗を喫した相手にリベンジし、大学日本一をつかむ。

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セットカウント0-2で迎えた第3セット(S)。追い込まれても、宮部は「苦しい時にチームを助けることが求められている」と気持ちを切らさなかった。冷静に状況を分析し、ズレがあった助走やトス速度を修正。同時にメンバーには「落ち着いて」と声をかけ、盛り立てた。16-18から決めたアタックを皮切りに、チームは5連続得点。このセットを奪って勢いに乗ると、以降は持ち前の強打で得点を重ねた。最終Sには4本連続でスパイクをたたき込み、マッチポイントからの一打も決めて決勝の舞台をつかみ取った。

2セット先取されてからの逆転勝ちは現チームでは初めて。「難しい時、厳しい時でも諦める理由がなくなった。みんなが今日のゲームでまだやり切れると思えた」と大きな収穫を得た。前日には、昨年の主将で現在はVリーグ・NECでプレーする中川が会場に駆けつけて激励。「勝ちきってほしい」とエールを送ってくれた先輩に恩返しも込めて栄冠を届ける決意だ。

金蘭会高3年時には、3連覇がかかった春高で準決勝敗退。あの悔しさと状況こそ重なるが、「打ち破れなかった心残りがある」と同じ思いを味わうつもりはない。決勝の相手は今大会失セット0の筑波大。春は0-3、秋は1-3で敗れたが「競った回数が多いほど強くなる。筑波より気持ちの面では1つ前に出て戦える」と力強く言い切った。【勝部晃多】

 

◆宮部愛芽(みやべ・あめぜ)2001年(平13)10月12日生まれ、兵庫県尼崎市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、姉は日本代表MBの藍梨。金蘭会高1、2年時に春高バレーで優勝し、3年時に代表初選出。東海大3年時の22年に世界選手権出場。173センチのアウトサイドヒッター。

○…筑波大は4年ぶりの決勝進出を決めた。東海学連1部で春季&秋季リーグ優勝の岐阜協立大にストレート勝ち。日本代表としてユニバーシティゲームズで銀メダル獲得に貢献した大山遼主将が、178センチの身長を生かしたプレーで攻守で引っ張った。「今年のチームが一番まとまりのあるチームになった自信がある。最後に絶対日本一になる」と、9度目の優勝へ闘志を燃やした。