前回準優勝の福岡第一が、4大会ぶり5度目の頂点に立った。4年ぶりとなった“福岡勢決戦”で、福岡大大濠を63-53で再び下した。日頃から切磋琢磨(せっさたくま)してきたライバルに対して堅守から流れを引き寄せ、エース崎浜秀斗(しゅうと、3年)を軸に得点を重ねた。部員115人の大所帯。井手口孝監督(60)が、就任30年目の区切りの年にチームを日本一に導いた。

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頂上決戦を終え、勝者となった緑のユニホームの福岡第一の100人を超える部員たちと、白いユニホーム姿の福岡大大濠の選手たちが肩を組んで記念写真に収まった。勝利に貢献したエース崎浜秀斗は「大濠さんの存在なくして、チームも自分もなかった」。切磋琢磨(せっさたくま)するライバルに感謝した。

受け継がれる守備力が光った。前半わずか14失点。個々の能力の高さと組織的守備を組み合わせ、相手にプレッシャーを与え続けた終盤に詰め寄られても慌てず対応。日本代表の河村勇輝(現B1横浜BC)を軸に連覇を飾った4年前に続き、福岡勢決戦を再び制した。

部員115人のマンモスチーム。とりわけ、河村の活躍を受けて入学した3年生世代は40人を超える大所帯だ。だからこそ意思疎通を図ることを重視した。秋頃には故障者が相次いだ。「チームがばらばらになりかけた」と主将の山口瑛司。そのとき、けがをした当事者でゲームキャプテンでもある崎浜秀斗は、寮の風呂や食堂などで積極的に仲間と言葉を交わした。山口は「みんなの支えがあり、再びチームが1つになれた」。復帰したエースを中心に、115人が結束して乗り込んだ今大会。4年ぶりの優勝をつかみ、コートに大きな歓喜の輪が広がった。【奥岡幹浩】

〇…福岡大大濠は相手から強いプレッシャーを受けて、シュート精度を欠いた。2年ぶり頂点には届かず、片峯監督は「受け身になってしまったところが悔やまれる」。身長200センチの渡辺伶音(2年)ら、先発5人中4人が1、2年生。それだけに今大会で得た経験は大きい。来季はさらなる飛躍が期待される中で、指揮官は「勝ち切るためには強烈なリーダーシップを持つ選手が必要と実感した」。心身を磨き、必ず大舞台に戻ってくる。

◆男子ベスト5 世戸陸翔(3年)崎浜秀斗(3年)山口瑛司(3年=いずれも福岡第一)渡辺伶音(2年)広瀬孝一(3年=ともに福岡大大濠)