雷による中断明け。会場に「メイジ! メイジ!」の合唱が起きた。前半35分にCTB秋浜のトライで5-14、さらに同39分には相手のミスを見逃さず、1年生WTB海老沢が突破して12-14と迫る。連綿とつながる創部100年の節目の決勝戦に、伝統を誇るような声が雪空に響き渡った。
逆襲に、今季のテーマに掲げてきた「ハイブリッド重戦車」も躍動した。FWを前面に出すスタイルを更新する。始動時のミーティングで神鳥監督が、走行用ベルトではなくタイヤを装着した戦車の画像を示した。「インターネットで検索して。(選手に)刺さっているかはわからないけれど、絵で空想です。ハイブリッド感があります」。
今の時代に即した進化を目指した。ドシッと構えない、球出しは速くする。ただ、絶対に接点で押し負けない。そこに伝統を埋め込む。前半の最後、スクラムで渡り合い、展開もみせた。「相手に的を絞らせないアタックをする。FWも(攻撃の)オプションになる」。数年かけて醸成してきた「ハイブリッド」を結実させようとした。
前半はペナルティーからPGを狙わずに、FW戦を選んだ。後半、自軍でのミスから差を広げられ、CTB広瀬主将は「帝京さんに流れをつかまれた」と悔やんだが、同時に「重戦車を信じてやった」。同監督も「(FWは)相手の強みであることも間違いないですが、我々もこだわっていた。最後にやられた印象はあるが、スクラムはやり切った」と貫いた。
前へ、101年目へ。最新版の伝統を追求していく。【阿部健吾】
○…目を見張る加速力は初の決勝でも輝きを放った。173センチの1年生WTB海老沢にボールが収まると、会場のボルテージが上がる。「(試合では)緊張しない。固まったりしない」。前半39分には大外で受けると、短い助走で一気にトップスピードへ。トライを奪い、チームに勢いをもたらした。こぼれ球への反応など、感じた差は糧に。「4年生はみんな優しくて。来年は絶対に優勝します」と雪辱を誓った。


