パリ五輪(オリンピック)シングルス選考レース2番手の平野美宇(23=木下グループ)が、国内選考で悲願の“パリ五輪切符”を手に入れた。2月の世界選手権団体戦(釜山)で日本が8強に入ると、五輪の団体出場権(3枠=シングルス2枠含む)を獲得する。

自身は6回戦で大藤沙月(ミキハウス)に4-0(13-11、11-8、11-8、11-4)のストレート勝利。得点を挙げるごとに左拳を振り、気持ちを込めたプレーで8強入りを決めた。

シングルスでは初の五輪代表入り。「まだ実感が完全には湧いていないですが、決まったことは事実なのですごくうれしいです」と笑顔を浮かべた。

約2年に及んだ選考レース当初は、下位からのスタートだった。会場内で涙を流したこともあり「恥ずかしい姿をお見せしたと思う」と回想。ただ、選考会で優勝するなどし、着実に選考ポイントを重ねてきた。「これではダメという気持ちをもって、年下の選手が向かってくることが前回と違った。難しさもあったが、自分を変えて、つかみにいかないと真剣に思ってから自分を変えることができた。自分の中で乗り越えられたと思う」と胸を張った。

これまでの五輪を思い返しつつ「リザーブだったり、ギリギリで負けたりした。何回もギリギリで落ちてきた自分でも、諦めずに根性でやれば夢はかなうかもしれないと思ってもらえる存在になれたらいいなと思う」と語り、パリ五輪へは「シングルスに出場するからには、必ずメダルをとりたい。団体でもメダル、やっぱり金メダルや中国選手に五輪の舞台で勝ちたい」と意気込んだ。

五輪シングルス代表は今大会終了後の選考ポイント上位2人が対象で、3番手の伊藤美誠(スターツ)とは34・5点差だった。その伊藤が自身の試合後、6回戦で敗れた。選考レース決着前には「『自分の人生をコントロールする』意識を最後までもって、戦う相手は(伊藤と)別の選手。明日上がってきた選手に勝ちきれるように戦っていきたいです」と27日の準々決勝に向けて意気込んでいた。

◆パリ五輪への道 最大3人が出場。日本は2月の世界選手権団体戦(釜山)8強で団体出場権(3枠=シングルス2枠含む)を得る。国内のシングルス代表選考レースは、今回の全日本選手権で終了。上位2人が「シングルスおよび団体戦代表候補予定選手」、残る1人の「団体戦代表候補予定選手」はシングルスで選出の2人とダブルスが組め、団体戦で活躍が期待できる選手となる。全日本は優勝=120点、準優勝=100点、4強=80点、8強=50点、16強(6回戦敗退)=20点、32強(5回戦敗退)=10点に設定されている。

◆パリ五輪選考ポイント上位(23年12月25日時点)

〈1〉早田ひな(日本生命)790・5点

〈2〉平野美宇(木下グループ)486点

〈3〉伊藤美誠(スターツ)451・5点

〈4〉木原美悠(木下グループ)354点

〈5〉張本美和(木下アカデミー)330・5点