宇都宮ブレックスが今季最長の10連勝で、開幕当初を除いて今季初めて東地区の首位に立った。

大接戦だった。第4クオーター(Q)残り1分を切って、2点のビハインド。たった1つのプレーが勝敗に直結する、ヒリヒリするような展開で、D.Jニュービルが魅せた。

自らのスチールから攻撃権を奪い取り、残り23秒、右コーナーから逆転の3ポイントシュートを決めた。「シュート練習を何万回もやってきているし、タフな状況でも1万回以上、打ってきているからね」。騒ぐな、といわんばかりの頼もしさだ。

ただ、ここまでもつれたのもチーム全体のエンジンのかかりが遅かったからだ。守備力の高いSR渋谷を攻めあぐね、前半は25-35。第3Q開始直後に最大12点差をつけられてしまった。

2月14日天皇杯準決勝千葉J以来、17日ぶりのゲーム。ニュービルも「休み明けでタフなゲームになった」と言った。ゲームから離れすぎると、逆に体が重く感じられることはよくある。

ハーフタイムで佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチは「シンプルなところを修正した」と振り返る。第2戦もあるため具体的な指示には言及しなかったが、スイッチは入った。ニュービルの4本の3ポイントシュートなど、第3Qだけで前半と同じ25得点。前半5得点だったエース比江島慎も、第4Qで2本の3ポイントシュートを決め、結果16得点と息を吹き返した。

何よりの収穫はギャビン・エドワーズの本格復調だ。左大腿(だいたい)直筋肉離れのケガから戦列復帰後では最長の20分2秒プレー。第4Qには、態勢を崩しながらも攻撃時間内ぎりぎりに、バックボードを使って3ポイントシュートを成功させた。

「いつも練習してるからね」とジョークを飛ばし、「運もスキルのうちだよ」とトークもさえる。「戻ってきた時から体自体の調子は悪くなかったけど、プレーでのリズム感が戻っていなかった。でももう大丈夫」と力強くうなずいた。

冷や汗ものながらリーグ戦再開初戦を取り、地区首位にも立った。21点差を逆転され、またも届かなかった天皇杯での悔しさを晴らすには、リーグの頂点に立つしかない。

「千葉戦のあと、より(リーグで)優勝したいという気持ちがチームの中で高まった。ストーリーをいい形で完結できるようにしたい」と佐々ヘッドコーチ。リーグ戦は残り20試合。地区V、そしてその先へ、物語の舞台は整った。【沢田啓太郎】