瀬戸大也(29=CHARIS)が本命種目でよもやの代表落ちとなった。4分10秒84の2位となり、派遣標準記録(4分10秒63)に届かなかった。栃木・宇都宮南高3年の松下知之(スウィン宇都宮)が4分10秒04で優勝し、競泳ニッポン一番乗りで初の五輪を決めた。

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瀬戸が伸びきれなかった。大歓声に包まれた最後の自由形。残り50メートルを1番手で折り返したが、隣の松下の猛追でかわされた。「最後バテるぐらいで(前半)入った。4分7秒を目指していたけれど、後半がやっぱりちょっときつかった」。五輪内定に向けて2位は死守したが、4分10秒84は派遣標準記録に0秒21届かない。直後の取材エリアでは必死に頭を整理し「松下くんが来ていて…。とりあえず1人、代表に決まってよかった」と絞り出した。

昨秋、五輪開幕まで1年を切りながらオーストラリアへ拠点を移した。夏の世界選手権(福岡)では銅メダル。それでも4分9秒41止まりだったタイムは、自己ベスト4分6秒09に遠く及ばなかった。周囲の助言も聞き、名伯楽のボール氏にコーチを打診。「ダイヤが本気なら、俺も頑張って見る」と受け入れてくれた。水中動作を見直すなど、新たな環境で妥協なく泳ぎ込んできた。

それでも、本命種目で五輪切符はつかめなかった。残すエントリーは、2月の世界選手権で4位の200メートル個人メドレーと、同じ距離のバタフライ。バタフライにも「自分的にはチャレンジしたい」と意欲を示し「しっかりと気持ちを切り替えたい」と力を込めた。海を渡った決断が正しかったと証明する場は、まだ残されている。【松本航】