<フィギュアスケート:世界選手権>◇20日(日本時間21日)◇第1日◇カナダ・モントリオール◇ペア・ショートプログラム(SP)

【モントリオール=阿部健吾】2連覇がかかるペアの「りくりゅう」こと三浦璃来(22)、木原龍一(31=木下グループ)組は今季自己ベスト73・53点の2位でSPを終えた。1位となった地元カナダ組の77・48点に続き、今季2位の高得点だった。

曲が終わるやいなや、2人見つめ合った状態で、木原は右手で大きくガッツポーズを作った。「今できることができたので、とりあえず一つよかったかなって思います」。今季3試合目にして、納得のできる出来だった。

冒頭のツイストリフトを決めると、続2人そろってジャンプを跳ぶ「サイド・バイ・サイド」で3回転トーループを降りた。その後もリフトやスロー3回転ルッツで出来栄え点を重ねると、表情に明るさを増していった。三浦は「4大陸(選手権)に比べると、本当に自信を持った練習を積み重ねてきたので自信はあった。笑顔で滑り切ろうって」と、うなずいた。

今季3試合目での大一番を迎えていた。木原が腰椎分離症と診断されて、昨年9月の大会を最後に試合から遠ざかった。4カ月ぶりの復帰戦だった2月の4大陸選手権は2位。ペアとしての練習は1月の第2週に入ってから。制限を設けながら、急ピッチで仕上げての試合となった。

それから2カ月弱。拠点を置くカナダでの世界一決定戦へ、1つの決断もした。フリーを北京五輪があった21-22年シーズンの演目「Woman」に戻した。三浦が「滑り込んだ期間も長く、盛り上がる。私たちらしくていい」と歓迎する代表作の再演に踏み切った。

2連覇の重圧について、三浦は「ない。私たちは、やっぱり追いかける側なので、自分たちができることを、としか思っていない」という。木原は「(腰の痛みは)まあ大丈夫。確かな練習をしっかり積んできたので、自信はもう戻った。4大陸選手権より仕上がっている」と手応えを持って挑んでいた。

21日(同22日)のフリーは、地元カナダ組の後の最終滑走となった。木原は「守ったところでもう守るものがないので、攻めていくしかない」と、力強く逆転を見据えた。